トランプ関税リスクオフの流れ一巡、この先の米金融政策の手掛かりに注目|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は方向感に欠ける展開となっており、4日正午時点で、1200万円周辺で推移している。
週明けのBTC相場は米国株相場の反発に連れ高となり、1220万円から1250万円周辺まで上昇。しかし、これによってシカゴマーカンタイル取引(CME)のBTC先物が窓埋めを達成すると失速した。
ただ、翌4月1日には米金利の低下を眺め徐々に戻りを試すと、1250万円の上抜けに成功。米国時間には米指標を受けて一時急落を演じるも、FRBによる利下げ観測や米株の上昇が支援となり、1270万円を回復した。
2日も米株の上昇に連れ高となり、一時は1300万円を回復したが、トランプ米大統領が発表した相互関税が想定よりも厳しい内容となったことで、週明けからの上げ幅を一気に掻き消し、1230万円周辺まで下落した。
3日も東京時間から米国時間序盤にかけてリスクオフムードが世界の金融市場に波及する中、BTCは下げ足を速め、一時は1200万円を割り込んだ。
一方、この日は米上院銀行委員会が13-11でポール・アトキンス氏を次期米SEC委員長として投票で決定。正式な就任まで残りは上院での投票のみとなった。また、ISMの非製造業PMIが下振れとことで、米金利の低下も相場の支援となり、徐々に戻りを試している。
相互関税の発表からリスクオフの流れは世界を一周した。一方、BTCも100万円幅の下落を演じた訳だが、3日米国時間には下げ止まり、売り一辺倒となっていない。
他方、貿易戦争と世界的な景気後退への懸念が燻る中、FF金利先物市場では俄かに5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを織り込む動きが確認され、市場は景気後退の先にある金融緩和を意識し始めたとも言える。
また、リスク回避の動きが強まったことで、足元ではドルからの資金逃避も加速しており、一部がBTCに流入している可能性もあるか。
現物ビットコインETFでは、相互関税発表前に2億ドル超の純流入を記録。3日にはネットフローが純流出に転じているが、1億ドル弱と額としては控えめだ(第2図)。
トランプ政権による相互関税を巡っては、ラトニック商務長官は撤回の可能性を否定しているが、トランプ氏は交渉に応じる可能性を示しており、情報に一貫性がない。
ただ、異常な高関税をチラつかせて貿易相手国を交渉のテーブルに誘い込むのはトランプ氏の常套手段とも言え、相互関税発動の9日までにまだまだ動きがありそうだ。提示された関税率が交渉によって引き下がるかに注目したい。
尤も、相互関税の発表でBTCにとっては材料出尽くし感も指摘される。
引き続き、米株式市場の軟化が警戒されるが、ドルからの逃避が進む中、金(ゴールド)相場には過熱感も確認され、短期的にではあるが逃避先は限られてきた。
よりFRBによる利下げが強く意識される状況となれば、BTCには支援となる可能性があり、目先も底堅い推移が期待される。
4日には3月の米雇用統計とパウエル議長発言、来週にはFOMC議事要旨や消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、この先の米金融政策の手掛かりに注目したい。
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