ai16zからElizaOSへ — Shaw氏が語る分散型AIエージェントの未来と新たな展開 【独自取材】
AIエージェントが投資判断を行う分散型VCプロジェクト「ai16z」は3月8日、「ElizaOS」として新たなページをめくった。プロジェクトの中核技術であり、キャラクターでもある「Eliza」を新名称とした背景や今後の展望について、創設者のShaw Walters氏にコインポストが独自取材した。
豊富な開発経験を持つ「エンジニア起業家」であるShaw氏は、長年にわたりAIエージェントに情熱を持って取り組んできた。
ソーシャルメディアで人々の意見に耳を傾ける「コミュニティ投資家」というアイディアを思いつき、コミュニティヘッジファンドのAI版を目指す。そこで、米大手ベンチャーキャピタルa16zの名前にあやかり、プロジェクトを「ai16z」と命名した。
しかし、プロジェクトは急速な勢いで成長し、そのトークンも時価総額が一時20億ドルを突破するなど急騰したことから、a16zとの混同が問題視されるようになった。
プロジェクトの規模が拡大し、認知度が高まる中、a16z側からの名称変更依頼もあり、Shaw氏は、当初からの中核技術である「Eliza」に焦点を当てることにした。
ElizaOSへの移行は、単なる名称変更以上の意味を持っているという。
それは、プロジェクトが当初のジョークやミーム的な要素から、より本格的な技術開発へとシフトした証であり、この技術がソーシャルメディア上のエージェントとして、人々の生活に役立つものになることを目指す決意の表れでもある。
Elizaはプロジェクトの根幹技術であると同時に、プロジェクトを代表するキャラクターでもある。
Shaw氏は、ソーシャルメディア上では、視覚的なアイデンティティがユーザーの関心を引きつける要素となることから、AIエージェントにアバターやキャラクター性を持たせることが極めて重要だと考えている。
現在のElizaOSでは、キャラクター性がエージェントの利用を促進する役割を果たしている。
例えば、新たな取引エージェントとしての「Spartan」は、投資情報を提供したり、プールの管理も行う。また、ソーシャルメディア・エージェントのLaura(仮称)は、アクセス権を付与することで、ユーザーに変わって投稿することも可能だ。
ElizaOSのAIエージェントは、具体的なユースケースに紐づいた個性を持っており、印象深いキャラクターを利用することでコミュニティでの認知度が高まり、技術の浸透を推進する助けとなる。
Shaw氏は、キャラクター開発を進めることで、エージェントが単なるツールを超え、ユーザーの生活に溶け込む存在になることを目指している。
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Shaw氏は、仮想通貨業界ではプロジェクト間のコラボについて発表されることも多いが、実際に実行されることは少ないと指摘。独自トークンやネットワークをもつプロジェクト間では、利害の衝突が起こり、協力することが難しいためだという。
一方、ElizaOSは、特定のL1やL2と競合しないため、多くのプロジェクトにとって魅力的なパートナーとなっている。同氏は、エージェント技術は既存のブロックチェーンに付加価値をもたらすもので、業界全体のエコシステムに貢献できると考えている。
コラボレーションの具体例として同氏は、150以上のプラグインがコミュニティによって開発されていることを挙げた。プラグインによって、SUIやTONなどのブロックチェーンとの統合や、Slack、LinkedInといったプラットフォームへの対応が可能になっている。
ElizaOSは、統合や開発者の機会を最大限に活かし、プロジェクトが取り入れたい機能に対するオプション性を高めることに努めているとShaw氏は強調した。
ElizaOSエコシステム内でAIエージェントや関連プロジェクトを立ち上げるための専用プラットフォーム「Launchpad(ローンチパッド)」の進捗について尋ねられると、Shaw氏はリリースが遅れていると回答。その理由の一つに、組織的な課題や市場の変化の影響があるという。
現在は、単なるトークン発行プラットフォームではなく、クリエイターのニーズに応え、真に役立つものとするため、4月1日のリリースを目標に設定したと説明した。
Launchpadはクリエイター重視の設計が特徴となっており、トークン発行の際には、クリエイターとLP(流動性提供者)が手数料を分け合う仕組みを採用している。
最初はソラナ( SOL )からスタートするが、他のチェーンにも対応予定だ。
また、エージェント技術を活用し、トークン保有者が自身のエージェントを立ち上げられる機能を備えている。さらに、Launchpadでは画像や動画コンテンツ生成のためのAIツールも提供される。
なお、Launchpadの基本的機能はトークンの発行プラットフォームであり、エージェントをローンチするか否かは、ユーザーの判断に任されている。
Shaw氏は、ElizaOSのトークノミクスは現在、サービス提供や新製品開発を通じてトークンの価値を支える方向にシフトしており、当初想定していた計画から大きく変化したと述べた。
プロジェクトの主な焦点は、「実際に役立つエージェントを作成するフレームワーク」で、「org」と呼ばれている。その目標は、リモートチーム、DAOS、NFTコミュニティ、DiscordサーバーやTelegramチャットなど、仮想通貨コミュニティの組織的な問題を解決するエージェントを作成することだという。
今後のロードマップとしては、フレームワークとorgのデモ、Launchpadのリリースがあるが、その後は、一般ユーザーがエージェントを簡単に利用できる環境整備に取り組む予定だ。
具体的には、消費者のユースケースに重点を置き、ElizaOSが構築したエージェントをDiscord、Telegram、Twitter、Slackなどのプラットフォームに、ユーザーが招待して使えるようにする。当初は無料で提供し、後に誰でもエージェントを作成して公開できるプレミアムサービスを導入する計画だという。
運営面では、急速な成長に対応するため、新たに最高執行責任者(COO)やプロダクト責任者を採用し、チーム強化にも注力している。
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