JBA、仮想通貨税制改正「5項目」を政府提出 分離課税20%など【取材レポート】
一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)は7月18日、「暗号資産に関する税制改正要望書」を政府へ提出した。同日15時より記者会見を開催し、加納裕三代表理事と岩崎宏太税制分科会長が登壇。
金融商品取引法への移行議論が本格化する中、2022年から継続している税制改正要望の最新版を発表した。
【JBAが提出した5つの税制改正要望】
JBAの要望の核心は、暗号資産取引への申告分離課税(税率20.315%)導入だ。現行制度では売却益が雑所得として総合課税の対象となり、住民税と合わせて最大55%が課される。株式や投資信託の20.315%と比較して極めて不利な状況にある。
加納代表理事は「暗号資産の口座開設数が日本で1,200万口座を超え、投資経験者における保有率は7.3%とFX取引や社債等を上回る」と指摘。米国ではビットコイン現物ETFの運用残高が1,400億ドルを超え、暗号資産が一般投資家の資産形成手段へと変化していることを強調した。
損失の繰越控除も重要な要望項目だ。「去年損をして今年儲かった場合、損失と利益を通算して納税が発生しないようにする。株式や法人税と同様の仕組みを導入してほしい」と加納代表理事は説明した。
暗号資産同士の交換時における課税の繰り延べ(クリプト・トゥー・クリプト)も提案された。現行制度では暗号資産間の交換時点で課税対象となり、DeFiなどで複数回の交換を行う際の税務計算が極めて煩雑だ。「最初に円から暗号資産に交換し、最後に法定通貨に戻す瞬間だけを課税タイミングとしてほしい」との要望である。
さらに、暗号資産を寄附した際の非課税措置の適用や、特定譲渡制限付暗号資産の法人税法上の取り扱いについても見直しの継続検討を要望。加納代表理事は記者会見で、相続時の「110%問題」と呼ばれる二重課税問題についても言及。被相続人が安く購入した暗号資産が値上がりした場合、相続税と譲渡所得税で合計110%の税負担が生じる問題について、株式と同様の税制上の手当てが必要だと訴えた。
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記者会見で示された資料によると、日本の暗号資産税率55%は先進各国の中で一番高い税率となっている。加納代表理事は「高い税制を課しても税収は増えない。なぜなら海外に行ってしまうから」と、暗号資産長者の国外流出問題を指摘した。
将来的にビットコイン現物ETFが日本で上場した場合、現物取引の最大55%に対してETFは20%の分離課税となる。「投資家がETFに流れることで現物市場の流動性が失われ、日本の暗号資産産業の健全な発展を妨げる」と加納代表理事は警鐘を鳴らす。JBAは源泉分離課税の選択制導入も提案し、確定申告の煩雑さ解消を目指している。
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