スイの注目プロジェクト「Walrus（WAL）」、将来性・購入方法を解説

Walrus（WAL）は、分散型ストレージ業界の革新を目指し、Suiブロックチェーンを開発したMysten Labsが手掛ける注目のプロジェクトです。

NFTメタデータやAIデータセットなどの大容量データ管理をブロックチェーン上で可能にするWalrusは、独自の経済システムと高度なエンコーディング技術により、競合との差別化を図っています。

本記事では、Walrus（WAL）の基本的な仕組みやトークンの特性、購入方法、投資家が注目すべき将来性とリスクをわかりやすく解説します。

Walrus（WAL） は、 Sui ブロックチェーンを開発したMysten Labsが手掛ける次世代分散型ストレージプロトコルです。エンコーディング技術とプログラム可能性に優位性があり、ブロックチェーン上の大容量データ管理という長年の課題を解決します。

このプロトコルは、NFTのメタデータ、GameFiのアセット、AIデータセット、ソーシャルメディアコンテンツなど、データ集約型Web3アプリケーションの開発を加速し、より豊かなユーザー体験を可能にします。

Mysten Labsは、元Meta（Facebook）のDiem/Libraチームメンバーによって設立され、CEO Evan Chengのリーダーシップのもと、Web3インフラストラクチャの構築に取り組んでいます。

Walrusは2025年3月に1.4億ドルの資金調達を完了し、Standard Crypto（リード）とAndreessen Horowitz（a16z）などの著名なVCから投資を受けています。 資金調達詳細

Walrusプロトコルの中核を成すWALトークンは、分散型ストレージネットワークの経済システムを効率的に機能させるために設計されています。このトークンは単なる投機的資産ではなく、プロトコルの運営に不可欠な役割を果たします。

WALはWalrusプロトコル上でのストレージ支払いの基軸となります。ユーザーは固定期間のデータ保存に対してWALで前払いし、その支払いは時間をかけてストレージノードとステーカーに分配されます。この時間分散型の支払いモデルにより、WALトークン価格の変動から保護しつつ、法定通貨でのストレージコストを安定化させています。

Walrusの運営パラメータはWALトークンを通じたガバナンスで調整されます。ノードオペレーターはWALステーク量に比例した投票権を持ち、ペナルティレベルなどの重要な決定に参加します。特に他のノードのパフォーマンス不足によるコストを負担するノードが、適切な経済的バランスを調整する役割を担います。

Walrusプロトコルはデフレ設計を採用し、2つの焼却メカニズムを実装します：

これらのバーニングメカニズムはWALの価値保存機能を強化し、ネットワークの健全な運営を支えています。経済設計、ガバナンス、インセンティブが一体となり、Walrusの分散型ストレージネットワークの長期的な持続可能性と成長を実現しています。

従来のブロックチェーンステーキングは、新規発行されるトークンが報酬源でした。Walrusでは、実際にストレージを利用するユーザーが支払う料金が直接ステーキング報酬になります。

データ保存ユーザーがWALトークンで料金を前払いし、その料金が約2週間のエポックに分散して配分され、ストレージノード運営者とステーカーに報酬として分配されます。WALトークンをストレージノードに委任することで参加でき、ステーク量に応じてノードが担当するデータ量が決定され、担当データ量に比例して報酬が増加します。

つまり、より多くのステークを集めるノードがより多くのストレージ業務を担当し、それに応じてより多くの報酬を得るという構造になっています。

ネットワーク立ち上げ期の利用者数限定による報酬不足を補うため、WALトークン総供給量の10%が補助金として確保されており、初期参加者の収益を支援します。なお、ステーキング操作の反映には約2週間のエポック制によるタイミング調整があります。

Walrusは、従来の分散型ストレージが直面する根本的な課題を解決する技術を提供しています。「 レッドスタッフ・エンコーディング 」と呼ばれるファウンテンコードベースのアルゴリズムにより、データ複製率を従来の4〜5倍に抑えながらも、ノードの3分の2が失われても復元可能な堅牢性を実現。この技術はFilecoinやArweaveなど既存ソリューションの限界（高コストまたはデータ損失リスク）を克服し、Web3の大容量データ管理という長年の課題に対する現実的な解決策となります。

プログラマブルストレージ の実現も特徴的な技術です。Sui NetworkのMove言語スマートコントラクトと完全統合されることで、保存データをオンチェーンで動的に操作可能になります。これにより、NFTメタデータの完全オンチェーン化、クリエイターエコノミーのためのメディアストレージ、分散型ソーシャルメディア、AIデータセットの透明な管理など、これまで困難だった多様なユースケースが可能になります。

2025年3月27日、Walrusはトークン生成イベント（TGE）と同時にメインネットを公開し、複数の取引所で取引が始まり、初日の価格は0.36ドルから0.61ドルの間で推移していました。

多くのプロジェクトがTGE直後に最高値を記録して下落する傾向がある中、WALは5月に過去最高値を更新しました。7月時点では、0.40〜0.45ドル台で安定した価格帯を維持しています。

現在、24時間あたりの取引高は、中央集権型取引所（CEX）と分散型取引所（DEX）を合わせて約73億ドルとなっており、BluefinやCetusなどSui上のDEXでの取引も活発です。

WALトークンは国内取引所での取り扱いがありませんが、Sui Networkの代表的なDEX「Cetus AMM」で購入できます。購入手順は以下のとおりです。

Suiブロックチェーンのトークン「SUI」を利用するには、まず日本の暗号資産取引所でSUIを購入する必要があります。

SUIを安全に保管し、Cetus AMMなどのDeFiサービスを利用するためには、Suiブロックチェーンに対応したウォレットが必要です。代表的なウォレットには「Suiet」や「Ethos Wallet」などがあります。

関連： Sui関連ウォレットの準備方法

Cetus AMMを利用してSUIをWALにスワップする手順は以下の通りです。

これでCetus AMM上でスワップ（例：SUI → WAL）を行う準備が整いました。

ウォレットの接続が完了したら、Cetus AMM上でSUIをWALなどのトークンに交換（スワップ）することができます。

※補足：トークンの価格や流動性によってはスリッページ（価格のズレ）が発生することがあります。Swap画面右上の「※」からスリッページ許容度を調整することも可能です。

以上が、WALを購入するまでの大まかな流れです。ガス代の調整方法など、DEX使用上の注意を含む詳細な情報について、関連記事でご確認ください。

WALとSUIトークンの間には相乗効果が生まれるように設計されています。Walrusでデータを保存する際、Suiトークン（SUI）がストレージファンドにロックされ、一部が永久に流通から除去される仕組みにより、SUIにデフレ圧力がかかります。Walrusの利用が増えるほどSUIの希少性が高まり、潜在的な価値上昇につながる可能性があります。

一方、WalrusはSuiに限らず他のブロックチェーンやアプリケーションでも利用可能なチェーン非依存設計を採用。Suiをコーディネーションレイヤーとしながらも、あらゆるチェーンのアプリケーションがWalrusのストレージ機能を活用できます。この拡張性により、Walrusの採用拡大とともにSuiネットワークの価値も高まるという好循環が期待されます。

Walrusは早くもAkord（データストレージプラットフォーム）、Decrypt（Web3メディア）、Talus AI（AIエージェント）、Plume（資産裏付けデータ検証）など、様々なプロジェクトとパートナーシップを構築しています。これらの協力関係は、Walrusの実用的なユースケースを実証し、プロトコルの採用を加速します。

さらに重要なのは、WalrusがMysten Labsの「Web3のための完全な分散型インフラ」ビジョンの中核をなすという点です。Sui Network（実行・コンセンサス）、zkLogin（認証）、SCION（通信）などと組み合わせることで、完全に分散化された次世代Web3スタックの重要な構成要素となります。Standard CryptoやAndreessen Horowitz（a16z）などの著名なVCからの1.4億ドルの資金調達は、この長期ビジョンへの信頼を示すものであり、Walrusの将来性を裏付けています。

Walrusは真のコミュニティ主導プロトコルとして設計され、トークン配分はエコシステム全体の長期的な整合性と成功を促進します。

最大供給量は50億WALのうち、初期流通供給量は、12.5億WALです。トークンの配分は、プロトコルの分散化とコミュニティの主体性を重視しており、全体の60%以上がコミュニティのために確保されています。コミュニティを中心に据えた配分戦略により、Walrusは真に分散化された持続可能なストレージプロトコルとしての発展を目指しています。

Walrus Foundationが、資金を管理し、プロトコルの分散化促進と開発者・ユーザーコミュニティの育成を担当します。特に初期のエコシステム構築フェーズでは、助成金、ハッカソン、開発者教育プログラムなどを通じて、活発なコミュニティ形成を支援します。

WALトークンの最大供給量は50億で、現在の流通量は約12.8億です。今後、残りの約37.2億トークンが市場に出回ることで、供給圧力が高まる可能性があります。特に、エアドロップされたトークンにはベスティング（分配スケジュール）がないため、初期保有者が短期的な利益確定のために売却する可能性があります。

トークン配分では、コア貢献者に30%、投資家に7%が割り当てられていますが、これらのロック解除スケジュールを注視する必要があります。

分散型ストレージ市場は既に、Filecoin、Arweave、Storjなど先行するプレイヤーが存在し、競争が激しい状況です。Walrusが技術的優位性を持っていても、既存のソリューションからの移行や新規ユーザーの獲得には時間がかかる可能性があります。

特に、企業やデベロッパーが新しいストレージソリューションを採用する際には、信頼性、長期的な存続可能性、コスト、使いやすさなど、多くの要因を考慮します。Walrusがこれらの領域で優位性を証明し、実際のユースケースを増やしていくことが、長期的な成功の鍵となります。

分散型ストレージプロトコルは、データプライバシー、著作権、コンテンツの責任など、様々な規制上の課題に直面する可能性があります。特に、削除可能な機能を持つWalrusは、削除要求への対応やコンプライアンスの問題に対処する必要があるかもしれません。

これらの規制環境の変化は、プロトコルの開発方針や採用の速度に影響を与える可能性があり、投資家はこれらの動向にも注意を払うべきです。

Walrus（WAL）は、Suiを開発したMysten Labsが提供する「分散型ストレージ」の新しいプロジェクトです。NFTやAIなど大量のデータを安全かつ安く管理できる仕組みが特長で、すでに多くの企業やプロジェクトとの連携も進んでいます。 トークン自体も、単なる投資商品ではなく、ネットワークの維持に必要な設計になっています。ただし、今後トークンの供給が増えたり競合が多かったりと、気を付けたいリスクもあります。 技術の強みとリスクを両方確認した上で、興味があれば検討してみると良いでしょう。

本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。