韓国、来年第3四半期を目処に機関投資家の仮想通貨投資解禁へ
韓国の金融委員会(FSC)は12日、機関投資家の暗号資産(仮想通貨)投資を解禁するにあたって、2025年第3四半期(7~9月)までに包括的な投資ガイドラインを発行する予定だと述べた。
このガイドラインは、機関投資家、上場企業、非営利団体による仮想通貨投資を規制し、市場の安定性を後押しするものとなる。
韓国では、過去8年の間、法人による仮想通貨取引が禁止されてきたがこれを解除する計画だ。背景としては、仮想通貨利用者保護法の施行により、ユーザー保護の基盤が整ったこと、海外主要国における法人の市場参加など市場環境の変化がある。
韓国の仮想通貨ユーザー比率は高く、韓国経済日報によると2024年11月現在で、約1,560万人(国民の約30%)が仮想通貨を取引している。一方で、市場のボラティリティ(変動の大きさ)は依然として懸念事項だ。一部識者は、機関投資家による参入が増えることで安定性が高まると意見している。
なお、機関投資家向けのガイドラインとは別に、非営利団体や仮想通貨取引所向けの新ガイドラインも発行予定だ。こちらは2025年4月の公開を目標にしている。
FSCは12日、仮想通貨業界や専門家との懇談会を開催。「法人の仮想通貨市場参加ロードマップ」にともなって検討されているガイドラインの内容について業界と議論した。
業界団体や、アップビット、ビッサム、ウェイブリッジなどの取引所、仮想通貨保管業者、銀行連合会や学識者などが参加している。
FSCの金副委員長は、トランプ政府の発足を契機にして、グローバルに仮想通貨の法整備について議論が進む中、韓国政府も「利用者保護」と「仮想通貨市場の発展」のための制度を設けるべく、スピードアップしているところだと話した。
また、ユーザー保護を中心に設計された「仮想通貨ユーザー保護法」に加えて、ステープルコインや、事業者・取引規制などを網羅する新たな仮想通貨関連法の準備に着手しているとも述べる。その上では、世界的な規制の流れを考慮しているという。
韓国では2024年7月に「仮想通貨ユーザー保護法」が施行された。仮想通貨事業者に、ユーザーの仮想通貨資産の少なくとも80%を、コールドウォレットに分別管理することや、ハッキング時の補償のための保険加入や積み立てなどを義務付けるものだ。
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金氏は懇談会で、特に、銀行と仮想通貨取引所を中心にしてマネロン防止措置を徹底するよう要請している。また、取引所に対しては、ハッキングなどの脅威に備えて利用者の資産を保護できるセキュリティ強化策を検討することも求めた。
業界企業など出席者は、今後の法人参加など市場拡大に伴う市場競争促進の必要性、国内仮想通貨事業者のグローバル競争力向上、法人の市場参加による銀行・取引所・保管業者間のコラボレーションの必要性などを提案している。
なお、韓国当局は2月、国内最大手の仮想通貨取引所アップビットに、顧客身元確認を怠っていたとして部分的な業務停止処分の措置を取ったところだ。新規顧客の仮想通貨入出金を3か月間停止している。
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