米国の複数メディアが3月12日に報じたところによると、フロリダ州拠点の仮想通貨投資会社ゴライアス・ベンチャーズを巡るポンジ詐欺で被害を受けた投資家が、JPモルガン・チェースを相手取る集団訴訟(Steele v. JPMorgan Chase Bank, N.A.)を3月10日にカリフォルニア北部連邦地裁に提起した。
訴状によると、JPモルガンは2023年1月から2025年5〜6月にかけてゴライアスの事実上唯一の取引銀行であり、同行の口座には同期間で約2億5,300万ドルが入金された。このうち約1億2,300万ドルはコインベースが管理するゴライアスのウォレットへ送金されたとされ、被害総額は2,000人超の投資家から集めた3億2,800万ドル(500億円)超にのぼると記録されている。
ゴライアスは当初「ジェン・Z・ベンチャー・ファーム」という名称で2023年1月に設立され、ビットコインやイーサリアム、USDCを活用した流動性プールへの投資と引き換えに月次4%の「保証リターン」を約束して資金を集めた。
しかし2025年9月に調査ジャーナリストがその疑わしい構造を公表し始め、2026年1月に出金停止とともに崩壊。そして同社のクリストファー・アレクサンダー・デルガードCEOは同年2月24日、ワイヤー詐欺およびマネーロンダリングの容疑で連邦当局に逮捕された。
訴状は、JPモルガンが不審な取引パターンを把握しながら内部統制を機能させず、詐欺が3年超にわたって継続する環境を提供したと主張する。また、JPモルガンとコインベースの提携関係が詐欺の拡大を可能にしたとも指摘しており、銀行のAML(マネロン対策)義務と仮想通貨ビジネスへの関与の境界線が法的争点となっている。
コインベースはザ・ストリートの取材に対し「本訴訟の当事者ではなく、コンプライアンス義務を完全に履行した。銀行や当局と連携し、不正行為者の責任を追及する姿勢は変わらない」と声明を発表した。一方でJPモルガンはコメントを拒否しており、担当弁護士のジョーダン・ショー氏は「関与が疑われる個人・法人の特定作業を続けており、追加の提訴を予定している」と述べた。
本訴訟は、大手銀行が仮想通貨詐欺の資金移動インフラとして機能した場合に民事上どこまで責任を負うかという前例のない問いを提示する事例となる。ジェイミー・ダイモンCEOが公の場でビットコイン批判を繰り返してきたJPモルガンが、詐欺の実行手段を提供していたとされる矛盾も注目を集めており、今後の規制強化論議に影響をもたらす可能性がある。
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