ブラックロックCEO、資産トークン化を次の成長戦略に 620兆円市場狙う
大手資産運用企業ブラックロックのラリー・フィンクCEOは14日、米CNBCのインタビューで、資産のトークン化が同社の次なる成長の鍵になるとの見方を示した。
インタビューは、フィンク氏が「満足のいく成果」と評価した第3四半期決算の発表後に行われた。同氏は、ブラックロックがポートフォリオの運用方法を革新したことで、現在ではパッシブ運用、アクティブ運用、上場資産、非上場資産に加え、投資テクノロジーとデジタル領域を重ね合わせた包括的なモデルが、世界中の顧客を引きつけていると語った。
「デジタル」とは何を指すのかと問われると、フィンク氏は「不動産から株式、債券に至るまで、あらゆる資産のトークン化である」と回答し、それはまだ始まりの段階にあると述べた。
フィンク氏は、世界のデジタルウォレットに保管された4.1兆ドル(約620兆円)の資金に注目しており、その多くが米国外に存在すると指摘した。
その資金を活用するために、上場投資信託(ETF)をトークン化することで、暗号資産(仮想通貨)を通じて投資を始めたばかりの投資家層にもアプローチできるようになると同氏は予測。その後、ETF投資家を退職金基金などのより伝統的な長期投資商品に導くことも可能になると考えている。
同氏によると、現在ブラックロックは、伝統的な金融資産をデジタルの形で再構成(再パッケージ化)することに注力し始めているという。投資家がデジタル・エコシステム内に留まるようにすると、現金の保有も可能になるが、ブラックロックは「トークン化された最大のキャッシュマネーマーケットファンドである”BUIDL”」を提供している。
BUIDLは2024年にローンチされ、現在その資産運用高は28億ドル(4,230億円相当)超にまで成長した。
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ブラックロックが提供するビットコイン現物ETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は、運用資産残高が1,000億ドル(約15兆円)に迫っている。また、IBITが保有するビットコインは、80万BTCを超え、ビットコインの最大供給量の3.8%超の水準に達した。
フィンク氏は、IBITの成長は「デジタル資産が従来型金融の枠組みの中で共存できることを証明している」と指摘。そしてその成功は、規制下でもイノベーションが発展可能であることを示しており、ブロックチェーンが主要市場へ統合される土台を築くものだと強調した。
しかし今でこそ、フィンク氏はビットコインを「正当な代替資産」とみなしているが、2017年にはビットコインを「マネーロンダリングの指標」と評した経緯がある。同氏は12日、CBSのインタビューでこの発言を撤回し、次のように述べた。
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