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アジア仮想通貨規制の現状と課題:香港・台湾の最新動向と地域連携の必要性|WebX2025

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大型Web3カンファレンス「WebX」では8月25日、「アジアにおける規制フレームワークと今後の見通し」をテーマとしたパネルセッションが開催された。このセッションでは、香港と台湾の最新の規制動向から、暗号資産(仮想通貨)規制におけるアジア諸国の国際協力まで、活発な議論が展開された。

東京国際法律事務所カウンセルのアンユミ氏が司会を務め、以下の3名がパネリストとして参加した。

セッションではまず、Angelina Kwan氏が香港のステーブルコイン規制について、現在の状況について詳しく解説した。

香港では昨年から「プロジェクト・アンサンブル」と名付けられたステーブルコインの規制サンドボックスが実施されており、Kwan氏も同プロジェクトに関わってきた。サンドボックスは、規制当局が参加する企業を観察・監視するためのものであり、香港では中央銀行である香港金融管理局(HKMA)が管轄している。

HKMAは、ステーブルコインのライセンス申請にあたっては、サンドボックス参加企業(例:RDテクノロジーズ)の審査を優先すると発表しており、現在はライセンス制度の詳細を調整している段階だ。

Kwan氏によると、香港にとっての朗報は、ステーブルコインのライセンス制度発表前に、中国がステーブルコイン条例を承認したことにより、香港での導入が実現したことだという。

香港の規制環境の観点から言うと、中国証券監督管理委員会(CSRC)は、香港の証券先物委員会(SFC)や中央銀行、HKMAと「非常に緊密に連携」しており、これらの機関はすべて足並みを揃えて動いているとKwan氏は明言した。

次に台湾立法院議員のJu Chun Ko氏が、台湾の仮想通貨規制の現状について説明した。

台湾では、仮想通貨規制に関しては遅れをとっているとJu Chun Ko氏は語る。日本や韓国とは異なり、同国は自己規制を軸とした独自のアプローチを採用してきた。現在、仮想通貨の規制ははマネーロンダリング防止(AML)登録制度の下、AML登録リストを使用して運営されているが、完全なライセンス制度(VASP制度)の導入に向けた準備が進行中だ。

ただし、台湾のVASP法はまだ公開協議の段階にあり、本格的な審議や三読会は、2026年後半から2027年初頭になると、同氏は予測している。

そのため、グローバルな大手仮想通貨取引所やプラットフォーム(バイナンスやOKX 、コインベースなど)は、台湾での事業展開を行なっていない。ただし、台湾のユーザーがこれらの取引所のサービスを使用することは可能だ。

VASP規制が実現した暁には、海外の取引所が政府と連携し、ライセンス取得後に運営したり、台湾に支社や子会社が設立されることを期待していると同氏は述べた。

台湾は、仮想通貨について学習段階にあり、政府も企業と協力してながら、規制の枠組み作りに取り組んでいる。さらに立法院でも、税制の問題について検討を重ねているため、今年から来年にかけては、多くの企業が台湾市場に参入し、ライセンスモデルへの準備に備える絶好の機会だと、Ko氏は総括した。

BackpackのCan Sun氏は、仮想通貨取引所を運営する立場から、事業展開に適した規制アプローチの条件について語った。

Backpackは、事業設立にあたり、世界197カ国を対象にコンプライアンス要件別の検討を行ったという。

最終的に、ライセンスを取得する管轄地域としてドバイを選択肢、現在では米国、ヨーロッパ、オーストラリアでライセンスを取得している。また、日本でもライセンス取得に向けた取り組みを進めている。その際に重要視したのが、「原則優先」のアプローチをとる規制当局かどうかという点だった。

伝統的な金融規制をそのまま仮想通貨に適用するのではなく、第一原理に基づく規制がイノベーションを促進し、業界発展に適していると考えている。

参入先の選定ではコストとベネフィットのバランスを慎重に検討し、ライセンス取得においては、自社での構築、パートナーシップの締結、既存企業の買収という三つの選択肢を評価した。

Sun氏は現在、仮想通貨業界では、取引所の買収などを通じた統合が進んでいると指摘する。特にグローバル展開を目指す企業が、現地市場参入の手段として買収を活用しており、この市場は「勝者総取り」の傾向が強いため、Backpackは事業拡大のために先行者利益に追いつく努力を継続しているという。

Angelina Kwan氏は、米国でジーニアス法(ステーブルコイン規制法)が成立し、トランプ大統領が積極的な仮想通貨政策を推進している事実は、アジアの規制当局が直面する課題の一つであるとの見解を示した。

また、欧州では、欧州証券監督管理機構(ESMA)によるEU域内の共通ライセンス制度MiCAがすでに導入されている。このライセンス制度では、例えばフランスでライセンスを取得することで、EU市場全体にアクセス可能になる。

一方、アジアでは、日本、香港など6つの管轄区域で個別にライセンス取得が必要で、時間(1年以上)と大きな費用がかかる。アジアが統一された規制枠組みを構築しない場合、企業はライセンス取得が容易な米国や欧州を優先し、アジア市場を回避するリスクがあるとKwan氏は警告する。

さらに同氏は、将来的にアフリカ諸国など他の地域が経済ブロックとして団結し共通の規制枠組みを実現した場合、アジアは分断された規制環境により、大きな打撃を受ける可能性があると指摘した。

Kwan氏は、規制当局間の情報共有や相互承認を推進し、アジア全体でライセンス取得の効率化を図るべきと提案。このアプローチを導入することで、時間とコストを大幅に削減し、アジア市場の競争力を高められると強調した。

Ju Chun Ko氏は、アジア域内で規制当局が協力するという考えについては、「大変興味深いアイディアだ」と評価した。規制面で遅れをとっている台湾こそ、他国の事例を参考に、より効率的な制度を構築し、連携していくことが可能だと主張した。

例えば家電製品などでは、日本や韓国ですでに認可済みの製品であれば、台湾では審査を簡略する仕組みがあり、同様の制度(迅速な承認プロセス)を仮想通貨規制にも導入できる可能性があると指摘。現在、台湾ではVASP規制が検討段階にあるため、このアイデアを取り入れた柔軟な修正も考えられると付け加えた。

一方、Kwan氏は、アジア太平洋経済協力(APEC)の枠組みを例に挙げ、国際協力の前例を提示した。APEC加盟国の居住者は、APECカードを活用してビザなしの入国が可能となっている。このような地域内での協力の成功例は、仮想通貨規制の迅速化や標準化にも応用可能だと示唆した。

Kwan氏は改めて、連携が不十分なアジアの規制環境に対する懸念を表明し、ある企業がシンガポールでのライセンス取得に多額の費用を投じた後、米国での事業開始を選んだ事例を紹介した。ヨーロッパ諸国が協力して共通の規制を受け入れたことは歴史的な成果であり、少なくともアジアでも規制当局が協力可能な基準を設定することが不可欠であると訴えた。

WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。

このイベントは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、AI、DeFi、ゲーム、メタバースなどのWeb3関連プロジェクトや企業が集結。起業家・投資家・開発者・政府関係者・メディアなどが一堂に会し、次世代インターネットの最新動向について情報交換・ネットワーキングを行うイベントです。

数千名規模の来場者と100名以上の著名スピーカーが参加し、展示ブース、ステージプログラムなどを通じて、業界最前線、グローバル規模の交流とビジネス創出が行われます。

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