来週FOMCの焦点は? テクニカル的な買いがビットコイン相場を押し上げる可能性|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は確りと推移し、8月23日ぶりに1700万円を回復している。
米労働市場の減速を背景とする景気後退懸念と利下げ期待が相まって、今週前半のBTC円は1650万円を挟み込み揉み合う展開が続いた。9日に発表された米雇用ベンチマーク改定の速報値では、今年3月までの12カ月間の雇用者数が91.9万人減と大幅に下方修正され、相場は一時1640万円を割り込んだ。
しかし、FRBによる利下げ期待によって翌10日の欧州時間には下げ幅を奪回すると、8月の米卸売物価指数(PPI)が大幅に下振れたことで1680万円を回復した。
11日に発表された8月の米消費者物価指数(CPI)は、前年比で+2.9%と1月ぶりの大幅な加速となったが、市場予想とは合致し、インフレ再燃は一時的という見方が強まった。
また、この日発表された米新規失業保険申請件数が26.3万件とおよそ4年ぶりの高水準となったこともあり、BTCは大きく上下に振れた末、1700万円を回復している。
米CPIの発表までの一連の雇用とインフレデータを経て、FF金利先物市場では年内3回の利下げが織り込まれつつある。来週16日〜17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、四半期次の経済見通し(SEP)の更新も控えており、当局者の政策金利の見通しが一番の焦点となろう。
6月のSEPでは、年内2回の利下げと来年に追加で1回の利下げの可能性が示された。6月時点では労働市場の下振れリスクは意識されていなかったことから、金利見通しには下方修正が期待される。
また、個人消費支出(PCE)インフレ率の見通しも重要なポイントとなる。6月のSEPでは関税の影響から年末の見通しが+2.7%から+3.0%、来年は+2.2%から+2.4%に上方修正されていた。関税の物価への影響が一時的という見解が示され、PCEの見通しが据え置きとなれば、市場には安心材料となるだろう。
いずれにせよ、2カ月連続で雇用統計が大幅に下振れたこともあり、パウエルFRB議長の姿勢も7月会合から変わらざるを得ないだろう。同氏は2022年にインフレの見通しに関して政策の舵取りを失敗しており、2度目の失敗は避けたい筈だ。
また、2022年のバイデン政権とは違い、トランプ政権下での失敗はさらなるFRB批判を巻き起こす可能性が危惧される。
チャートの側面では、ドル建てBTC相場は史上最高値から9月1日安値の半値戻しを試す展開となっている(第2図)。「半値戻しは全値戻し」とも言われることから、同水準(11万5865ドル≒1709万円)を終値で回復すれば、テクニカル的な買いが相場をさらに押し上げる可能性が指摘される。
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