ジーニアス法成立後のステーブルコイン世界覇権争い、日本は規制先行も普及に課題|WebX2025
米国でステーブルコイン規制法「ジーニアス法」が成立したことを受け、世界各国でステーブルコイン発行競争が激化している。25日にWebXで開催されたパネルディスカッションで、業界関係者がステーブルコイン覇権争いの現状と課題を議論した。
タイトルは「分断と規制を超えてー世界ステーブルコイン覇権争いの行方」。登壇したのは以下のメンバーである。
「WebX」は国内最大手のWeb3メディア「CoinPost」を運営する株式会社CoinPostが企画し、一般社団法人WebX実行委員会が主催するWeb3カンファレンスで、今年は8月25日と26日に「ザ・プリンスパークタワー東京」で開催されている。
ビザのアジア太平洋デジタル資産部門責任者ニシント・サンガビ氏は、同社が過去5-6年間ステーブルコイン決済インフラ構築を進めてきたと説明した。現在4つのステーブルコインと4つのブロックチェーンに対応し、1,000億ドル規模の取引を処理している。
サークルのアジア太平洋バイスプレジデント、ヤム・キ・チャン氏は、ジーニアス法成立が世界中の企業ボード(取締役会)レベルでステーブルコイン戦略を議題にしていると指摘した。現在95-97%が米ドル建てステーブルコインだが、将来的に貿易フローの実態に近づくとの見通しを示した。
コインチェックグループのシニア戦略アドバイザー、エミリー・パーカー氏は韓国での「ステーブルコインフィーバー」を例に挙げ、各社が商標登録を急いでいる状況を説明した。中国も自国通貨連動ステーブルコイン発行を検討中で、米ドル覇権への対抗意識が透けて見える。
日本については世界初のステーブルコイン規制整備を評価する一方、実際の普及には時間がかかっているのが現状だ。信託銀行モデルでは準備資産を日本の銀行口座に保管する必要があり、ほとんど利息が付かない制約がある。
第二種資金移動業モデルでは1回100万円の送金上限が設けられている。パーカー氏は「大企業が採用するには待ち時間や手数料負担が課題」と指摘した。
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一方、主要ユースケースとして、国境を越えた資金移動・決済、トークン化資産取引、AI連携による自動決済が挙げられた。サンガビ氏は「AIエージェントが航空券予約から決済まで自動実行する世界」を描いた。
パネリストは「1995年のインターネット黎明期に相当する段階」との認識で一致。チャン氏は「今後数年でまだ想像もつかない革新的ユースケースが生まれてくるだろう」と予測し、仮想通貨決済インフラの将来性を強調した。
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WebXとは、日本最大の暗号資産・Web3専門メディア「CoinPost(コインポスト)」が主催・運営する、アジア最大級のWeb3・ブロックチェーンの国際カンファレンスです。
このイベントは、暗号資産、ブロックチェーン、NFT、AI、DeFi、ゲーム、メタバースなどのWeb3関連プロジェクトや企業が集結。起業家・投資家・開発者・政府関係者・メディアなどが一堂に会し、次世代インターネットの最新動向について情報交換・ネットワーキングを行うイベントです。
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