ギリシャ、Bybitハッキングで盗まれた仮想通貨の一部を回収 同国初
ギリシャのマネーロンダリング対策当局は、暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitハッキング事件で盗まれた資金の一部を回収した。仮想通貨押収は、同国初となる。
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは、ギリシャ当局は2023年から、同社の調査ソフトウェア「Chainalysis Reactor」を取り入れていたと指摘した。
Bybitのハッキングは今年2月に発生。ハッカーが同社のマルチシグ・コールドウォレットに不正アクセスし、14億ドル(約2,040億円)相当の401,346 ETHやmETH、stETHなどを盗み出したものだ。
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ギリシャ当局は、Bybit攻撃から数か月後に不審な仮想通貨取引を特定。「Chainalysis Reactor」を用いて資金の流れを可視化し、犯罪者のウォレット内の仮想通貨と、Bybitハッキングで使用された主要なウォレットとの明確な関連性を突き止めた。
これを受けて、ギリシャ当局は「凍結命令」を発令し、ウォレットとその資産を凍結することができた格好だ。犯罪収益は犯人グループがコントロールできなくなり、検察当局が管理している。
Bybitのハッキングは、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」による犯行だったことが突き止められているところだ。Bybitは2月、不正流出した資金を追跡する報奨金サイト「Lazarusbounty」を立ち上げた。
このサイトによると、現在14億ドルのうち、約33%がブロックチェーン上で追跡されており、約5%が凍結されている。一方で、約62%が現在追跡不能となっている状態だ。
報奨金の仕組みとしては、資金凍結と、その資金に関連する主体の特定の両方につながる証拠を最初に提供した者には、凍結額の5%が支払われる。また、資金凍結を実行した責任者にも、凍結額の5%が支払われる。
ドイツ当局も5月8日、Bybitハッキング事件で流出した資金のマネーロンダリングを追跡し、仮想通貨取引所eXchのプラットフォームから3,400万ユーロ(58億円)相当の仮想通貨を押収した。
2014年に設立されたこの取引所は、マネーロンダリング対策や顧客確認措置を講じずに、匿名での取引を可能にしていた。当局によると、eXchは犯罪に関するアンダーグラウンドのプラットフォーム上で、マネーロンダリング対策の欠如を宣伝していたとされる。
ドイツ当局は、eXchが犯罪行為に由来する疑いのある17億5,000万ユーロ(約3,000億円)以上の仮想通貨をロンダリングしていたことを突き止め、プラットフォームを閉鎖した。
Bybitから盗まれた資金の一部も、この取引所を経由していたと指摘されている。
北朝鮮の仮想通貨ハッキングについては国際協力も進められている。日米韓の3カ国の政府は1月時点で、北朝鮮による仮想通貨窃取に関する対策で協力するとの共同声明を出していた。
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