ビットコイン採掘の収益性、過去5年間で最低水準に
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン( BTC )のマイニングは現在、様々な企業でかろうじて採算が取れる水準で運営されているとみられる。
HASHRATE INDEXによると、22日現在で、ビットコインマイナーが、1ペタハッシュ/秒の計算能力により一日あたりに稼げる収益(USD/PHS/DAY)は約45ドルとなっている。これは、過去5年間における最低水準だ。
強気相場中の2021年10月にはUSD/PHS/DAYが約417ドルに達していたこともある。現在までに約90%下落していることになる。
なお、1ペタハッシュとは、1秒あたり1,000兆回のハッシュ計算を行うことができる能力だ。
また、採掘難易度も上昇傾向である。難易度とは、ビットコインネットワークに組み込まれた機能で、マイナーがブロックをマイニングする速度を制御するものだ。ブロック生成時間を10分で保つようにする仕組みである。
例えば、マイナーが平均10分未満で1ブロックをマイニングしている場合は、これを標準速度に戻すために、難易度が調整され引き上げられる。
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4月6日には、これが約121.5Tに、19日には約123.2Tまで引き上げられた。つまり、1ブロックを生成するために123.2兆回のハッシュ計算が必要になるという意味だ。
さらに、インフレによるエネルギーコストの上昇や、取引手数料の低下などもマイニング企業の事業に影響を与えている。
ドナルド・トランプ米大統領による追加関税政策の行方も懸念されているところだ。米国で使用されているマイニング機器の大半は、インドネシア、タイ、マレーシアといった国で製造されている。
現在は一時停止が発表されたものの、トランプ氏はこうした国への関税を24%から36%まで引き上げると発表していた。米国のマイニング企業は緊急対応に追われているところだ。
また、トランプ大統領が米国製マイニング機器の開発を支援する姿勢を示していることから、米国での生産に移行する企業も現れる可能性がある。すでに、シンガポールに本拠を置くBitdeer(ビットディア)が、米国でマイニング機器の製造を開始する準備を進めている。
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2024年4月20日には、4年に一度のビットコイン半減期があり、それ以降マイナーへの報酬として発行されるビットコインの量が50%減少している。このことも、マイニング企業の計算能力あたりの報酬を下落させている一因だ。
半減期を迎え、様々なマイニング企業が事業の多角化を図るなど対応を進めてきた。特に、昨今高まるAI(人工知能)用のデータセンター需要を活用しようとしている。
一例として、米マイニング企業コア・サイエンティフィックは、既存のビットコインマイニング施設をGPU対応データセンターに転換。GPUクラウドプロバイダーのCoreWeaveと12年にわたる契約を締結した。
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