ビットコイン、回復力向上でイーサリアムをアウトパフォーム|Wintermuteレポート分析
暗号資産(仮想通貨)マーケットメイカー大手Wintermute(ウィンターミュート)は14日、最新の市場分析レポートを発表した。ビットコインの回復力が高まっていると指摘している。
また、最近の市場下落局面におけるビットコイン( BTC )の回復力などを考慮すると、好材料がない限りはビットコインがイーサリアム( ETH )をアウトパフォームし続ける可能性があると述べた。
まず、S&P500とナスダックが1年以上前の安値まで急落し、長期債利回りが2007年以降で3度しか記録していない高値に急上昇する中、ビットコインの下落は比較的緩やかだったと指摘する。
ウィンターミュートは、これは、過去の危機的状況におけるビットコインの動向とは大きく異なっていると意見した。以前は、ビットコインの損失は、伝統的な資産の各指数のそれを大きく上回るものだったが、今回の動きは違っており、ビットコインの回復力が高まっていることを示すとしている。
さらに先週は、米国のドナルド・トランプ大統領が、関税の一時停止や引き下げなど緩和措置を発表したことで、仮想通貨市場も他の金融市場と同様に反発。ビットコインは83,700ドルまで反発し、週足で7%の上昇だったとまとめた。
一方でこの際、イーサリアムの反発は1%にとどまっており、ETH/BTC比率は0.019と5年ぶりの低水準に低下したと指摘。ビットコインに対してイーサリアムのパフォーマンスが依然として下回っていることが浮き彫りになったと続ける。
イーサリアムの次期アップグレード「Pectra(ペクトラ)」の実施やイーサリアムETFのステーキング要素承認といった大きな材料が発生しない限りは、ビットコインのパフォーマンスがイーサリアムを上回り続ける可能性があると述べる格好だ。
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イーサリアムの「ペクトラ」アップグレードは、現在のところ5月7日に予定されている。主なポイントは以下だ。
BLOBとは、大規模データ転送を実現する、イーサリアムのブロックに添付する一時的なデータパケットだ。スループット向上とは、より多くのデータ(L2からのトランザクションなど)を、1ブロックで処理できるようにすることである。
これにより、L2ロールアップが多くのトランザクションをより安く処理できるようになる。
また、「ペクトラ」ではバリデータの最大ステーク数を現行の32ETHから2,048ETHへと大幅に引き上げる計画だ。これにより、特に機関投資家などが大規模にステーキングを行う際の運用コストが下がり、顧客に対する手数料も下がる可能性が指摘される。
「コールデータ」は、L2などがイーサリアムに送るトランザクションデータのことだが、現在はこれにかかわるガス代(手数料)が安すぎるため、L1がこのデータで混雑する恐れがある。コールデータの手数料を引き上げることで、これを緩和する狙いだ。
こうした改善により、イーサリアムはスケーラビリティとユーザビリティの向上で前進することになる。長期的に前向きな動きとなるが、イーサリアムの機能改善がすぐに価格上昇につながるかどうかは不透明だ。
他のL1やL2プロジェクトとの競合や、アクティブユーザーの獲得などが課題とされる。また、マクロ経済トレンドや機関投資家の参入など外部要因にも左右される。
一方、米証券取引委員会(SEC)は、イーサリアム現物ETFにステーキング要素を組み込むことについて、6月まで決定を延期した。
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