「関税と決算発表が仮想通貨市場の鍵」米コインベース週次レポート
米国の暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは21日、週次マーケットレポートを発表した。今後数週間で注目すべき最も重要な要因は、関税など世界貿易に関するトピックと、各企業の1~3月期決算発表になるとの見解を示している。
また、将来的に仮想通貨投資を増やす意向の機関投資家が増えているという調査結果を報告した。
まず、現在の状況については、世界的な貿易政策の不確実性により、機関投資家が資金を積極的に運用しづらい状況が続いていると指摘。そのために、仮想通貨市場では当面の間、買い手が限られると述べた。
今週開催されたFOMC会議についてもまとめている。連邦準備制度理事会(FRB)は、予想通りに政策金利を据え置き(4.25%~4.50%)、4月1日よりバランスシート縮小のペースを徐々に減速させ、月間上限を250億ドル(約3.7兆円)から50億ドル(約7,500億円)に引き下げる決定を下した。
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なお、「バランスシート縮小」とは、FRBが保有する米国債その他を市場に売却したり、満期償還後に再投資しないことで、市場から資金を吸収する政策のことだ。
具体的には今回、米国債などの償還上限額を50億ドルに引き下げることで、流動性を維持しようとする。金融引き締め政策を和らげる方向だ。コインベースは、これは一時的な変更ではなく中長期的な方向性である可能性があると意見した。
FRBのドットプロット(金利予測分布図)では、FOMCメンバーの年末の利下げ予想の中央値は、2025年に0.5%、2026年に0.5%に据え置かれている。今年2回の利下げが観測されているところだ。
さらに、FRBは今回のFOMCで米国の経済見通しをめぐる不確実性の高まりを認めた。スタグフレーションへの不安も浮上しており、実質GDP成長率の中央値は前年比1.7%(従来は2.1%)に下方修正されている。
コインベースは、FOMCに対する市場の反応は控えめだと指摘。機関投資家は4月2日の関税発表を次の大きなマクロ材料と見込んでいると続けた。
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コインベースは、機関投資家の仮想通貨採用について前向きなニュースも伝えた。同社がEY-Parthenonと共同で機関投資家352社を対象として実施した調査では、約83%が、仮想通貨への投資を増やす予定だと回答していた格好だ。
増やすと回答した企業の多くは、今後3年間で魅力的なリスク調整後リターンが見込めることを理由に挙げている。また、59%が2025年に運用資産の5%以上を仮想通貨に割り当てる予定だと回答していた。
コインベースは18日、機関投資家のDeFi(分散型金融)参入を促進する流動性プール「Coinbase Verified Pools」を発表したところだ。
コインベースは、流動性プールは、ユーザーが仲介者なしで仮想通貨を取引できる場だが、これまでは誰が資金を提供しているのか明確であるとは限らないというリスクがあったと述べている。
新サービスは、コインベースの認証システムを活用して、認証されたユーザーのみが流動性を供給または操作できるようにするものだ。
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