国際決済銀行(BIS)のパブロ・エルナンデス・デ・コス総裁は20日、東京での講演でステーブルコインをめぐる国際的な規制協調が「極めて重要だ」と述べ、各国が連携して規制枠組みを構築するよう改めて訴えた。ロイターなどが報道した。
デ・コス総裁は、管轄ごとに規制が乖離した場合、「深刻な市場分断」か「有害な規制裁定」を招くと明言した。また、テザーとサークルが発行する世界流通量の約85%を占める2大ステーブルコイン(合計約3,150億ドル)について、頻繁にペグから乖離する「償還摩擦」を持つ点を挙げ、「マネーというよりETFに近い」との見解を示した。
こうした発言の背景には、ステーブルコイン市場の急拡大がある。スタンダードチャータード銀行が2月に公表したレポートによれば、過去2年間でステーブルコインの流通速度は2倍に急上昇し、月間平均回転率は約6回に達している。
米国でもトランプ政権下でジーニアス法の制定が進むなど、制度整備の遅れを取り戻す動きが各国で加速している。
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デ・コス総裁はステーブルコインの普及が途上国経済の「ドル化」を加速させ、資本規制の回避を容易にするリスクも指摘した。好況時の資金流入と不況時の資本逃避の両方を増幅しかねないと述べており、新興国の金融安定への波及を懸念している。
スタンダードチャータード銀行のデジタル資産研究責任者ジェフリー・ケンドリック氏は、USDCがソラナやベースネットワーク上での決済利用で流通速度を牽引している一方、USDTは新興国での価値保存手段として低速・安定で推移していると分析しており、2大銘柄の用途分極が鮮明になっていると指摘している。著名投資家スタンレー・ドラッケンミラー氏も、ステーブルコインが今後15年で世界決済システムの基盤になるとの見解を示している。
今後の注視点は、米国のジーニアス法をはじめ各国の規制枠組みが国際標準とどこまで整合するかという点だ。デ・コス総裁が言及したステーブルコインへの預金保険・中銀貸出ファシリティの適用可否、および利息付与の解禁・禁止をめぐる論点は、ステーブルコインが「マネー」か「証券」かという法的性質の決定と不可分であり、制度の方向性が市場規模と利用形態を大きく左右することになる。