米国のマキシン・ウォーターズ下院議員(民主党)は26日、カンザスシティ連邦準備銀行が、暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンに、連邦準備制度の決済サービスへのアクセスを許可したことについて懸念し、同行に書簡を提出した。
これは、カンザスシティ連銀が最近、クラーケンに対して「限定目的口座」を承認したことを受けたものだ。
「限定目的口座」は、簡易版のFRBマスターアカウントのこと。これにより、クラーケンは高額のドル決済に用いられる決済インフラを利用できるようになり、同取引所の顧客である機関投資家は、より迅速な入出金ができるようになる可能性がある。
ただ、クラーケンは預けた預金に対する利息は受け取れないなど、いくつかの制限付きだ。
ウォーターズ氏は、現在は金融イノベーションが、安全性を維持するための規制を設定するよりも先に発達している状況だと指摘。そうした中で、仮想通貨企業に初めて連邦準備制度の決済システムへのアクセスを許可することは、政策、規制、消費者保護上の懸念を引き起こすと意見した。
国の基幹決済インフラへのアクセスは「重大な公共責任」をともなうものであり、完全な透明性や、明確な法的根拠、リスクが適切に管理されているという確信なしには、新たな分野の企業へと拡大されるべきではないとしている。
「金融イノベーション」の中身としては、決済、デジタル資産、現実資産(RWA)トークン化の他、人工知能(AI)も挙げた。
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ウォーターズ氏は、カンザスシティ連銀に対して、クラーケンが今後利用できるFRBのサービスや、その際の条件や制限などを説明するよう求めた。
承認前に、健全性、マネーロンダリング対策、消費者保護などに関してどのように検討したのかも問い合わせている。
具体的には、クラーケンの口座が連銀の決済処理ネットワーク「FedACH」、高額・即時決済システム「Fedwire」などの主要な決済インフラを利用できるのか、また、当座貸越制限、残高上限、監督要件の強化などの対象となるのかについて、明確な説明を求める格好だ。
以上のことに関して、4月10日までに書面での回答を要求している。
すでに、米国の銀行業界からは、クラーケンの口座を承認したことに対して反発する声が上がっている。大手銀行を多く代表する銀行政策研究所は、枠組みの策定が完了する前に、今回の決定が下されたとして懸念を表明した。
FRBは現在、「限定目的口座」に関する政策枠組みを策定しているところだ。FRBのクリストファー・ウォーラー理事は先月、年内にこの件に関する提案を発表することを目指していると述べた。
なお、銀行業界はステーブルコインへの利回り付与についても、従来型銀行からの預金流出を懸念して反対している。今回の件でも、仮想通貨業界とは対立する姿勢を示している状況である。
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