今週の市場はイラン・米国情勢の緊張が続いた影響で少し神経質な展開になりました。ビットコインは68,000ドルの節目を割り込む場面もありましたが、そんな中でもポジティブに捉えられるニュースも散見されました。
特にBlackRockのCEOが「スマホのデジタルウォレットで投資が支払いと同じくらい簡単に」と発信したニュースは、暗号資産市場の将来性を強く印象づけました。
マクロ市場について
外部環境は依然として複雑です。イランと米国の衝突は第4週に入り、トランプ大統領が「イランとの対話は生産的」と発信してエネルギー施設への攻撃を10日延期(4月6日まで)としたものの、イラン側は即座にこれを否定。停戦のための厳しい5条件を提示するなど、外交と軍事行動が並行して進んでいます。
Kplerのデータではホルムズ海峡を通る船舶が平常時の95%減と、サプライチェーンへの実害が深刻化。フィリピンが国家エネルギー緊急事態を宣言するなど、原油高騰の長期化が世界経済への負担として懸念される一方で、短期的には需要減退観測などから原油が単日10%超の下落を見せるなど、ボラティリティの高い動きとなりました。この結果、 金は8%の大暴落、原油は単日10%超の下落 という動きになりました。
金融政策面でも、FRB理事が2026年に4回の利下げを予想する一方でインフレ・賃金上昇次第では利上げもあり得ると指摘。ECBも複数の機関から利上げ予想が出ており、市場全体に政策の不透明感が広がっています。
今週の注目ニュース3選
a16z「AIエージェント型ビジネスがインターネット広告モデルを終わらせる可能性」
a16zが今週発表した分析で、AIエージェント(自律型AI)の急速な進化により、従来のインターネット広告中心のビジネスモデルを根本から終わらせる可能性があると指摘しました。AIがユーザーと直接交渉・取引を行うようになれば、広告依存のウェブ経済構造自体が大きく変わるとの予測で、業界内で大きな注目を集めています。
2026年初のDeFiハック被害総額がすでに1.37億ドル超
Cipherの統計によると、2026年に入ってからわずか数ヶ月間でDeFiプロトコルに対するハッキング被害総額が1.37億ドル(約200億円)を突破しました。セキュリティ対策の遅れが改めて浮き彫りになり、プロジェクト側にはより強固な防御策とユーザー保護体制の構築が強く求められています。
Solana財団主席Lily L\iu氏:「ブロックチェーンゲームは死んだ。戻らない」
Solana財団の主席であるLily Liu氏が、ブロックチェーンゲームについて「すでに死んでおり、二度と戻らない」と強い表現で断言しました。Metaのメタバース事業撤退などを背景に、ゲーム分野の将来性に対して厳しい見解を示し、業界内で大きな議論と波紋を呼んでいます。
BlackRock CEOが描くトークン化の未来
今週の最大のトピックは、 BlackRock CEO Larry Fink氏のトークン化に関する力強いメッセージ です。
Fink氏は「世界人口の半数がすでにスマホにデジタルウォレットを持っている。もしその同じウォレットで株式や債券などの長期投資ができるようになったらどうだろう? 支払いをするのと同じくらい簡単に。」と語り、
2030年までにトークン化市場は20兆ドル規模
になると予測しました。これは現在の市場規模の約750倍に相当する巨大な数字です。
ポイントは以下の3つです。
投資のハードルを劇的に下げる
トークン化により、従来の金融商品がブロックチェーン上で細分化・即時取引可能に。スマホ一つで誰でも簡単に世界中の資産にアクセスできるようになります。Fink氏はこれを「金融システムの配管を根本からアップデートする」と表現しています。
伝統金融の本気度が明確
BlackRock自身がすでに世界最大のトークン化ファンド「BUIDL」を運用しており、デジタル資産関連で巨額の資産を抱えています。この発言はWall Streetが暗号資産技術を「置き換え」ではなく「統合」する動きを加速させるでしょう。
他の動きと連動する潮流
今週はNYSEが暗号ETFオプション規制を大幅緩和したり、モントリオール銀行がトークン化現金サービスを開始したり、香港でVASP事業を本格稼働させたりと、インフラ整備が着実に進んでいます。BlackRockの予測はこうした全体の流れを象徴する強力なメッセージになりました。
地政学リスクで短期的に市場が揺れても、中長期ではトークン化が暗号資産の次の成長エンジンになる可能性が一段と高まったニュースでした。
まとめと今後の見通し
外部環境は依然として複雑で、地政学リスクと高油価、金融政策の不透明感が当面続きそうです。ただ、 BlackRockをはじめとする伝統金融のトークン化への本気度 は着実に高まっており、規制緩和やインフラ整備も並行して進んでいます。
AIのビジネスモデル変革やDeFiのセキュリティ課題、ゲーム分野の再定義といったトピックも並行して議論されていますが、全体として暗号資産市場の「実用化フェーズ」が本格化している印象です。
地政学リスクが落ち着けば、トークン化関連の動向に関心が集まり、市場が活発化する可能性も考えられます。長期的な視点でも引き続き動向を注視していきたい局面です。

