*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は、27日から28日にかけて最大50万円幅の下落となった。
今回の下落の最大の背景は、ホワイトハウスが3月1日を期限としている仮想通貨市場構造法案「クラリティー法案」の妥結に向けた進展が不透明となっていることである。同法案は暗号資産業界にとって長期的な制度基盤となり得る重要法案であるが、暗号資産業界と銀行業界の利害対立により交渉は難航しており、期限までの合意が困難になる可能性が意識され始めている。
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加えて、中東情勢の緊張もリスク資産の重荷となった。イラン情勢の悪化を受け、「安全上のリスク」を理由として駐イスラエルの米国大使館職員の一部退避が許可され、トランプ氏が軍事攻撃も辞さない姿勢を示したことにより、地政学リスクの高まりが意識された。この結果、投資家による一時的な資金退避の動きが発生し、暗号資産市場にも下押し圧力がかかったと考えられる。
さらに、米OpenAIが約17兆円規模の資金調達を発表したことも、間接的に市場心理を悪化させる要因となった。AI分野への巨額投資に対し、収益性との乖離を懸念する見方が株式市場で強まり、ハイリスク資産全般への警戒感が高まったことも下落に拍車をかけた。
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直近2カ月の主要アセットの比較では、S&P500は-0.09、ゴールドは-0.25%、原油は-0.24と、それぞれ小幅な変動にとどまっており、ビットコインとの強い相関関係は確認されていない状況である。
このことは、現在の暗号資産市場がマクロ要因よりも、クラリティー法案の期限といった暗号資産固有のイベントに強く影響されていることを示している。
オプション市場を見ると、期近のポジションにおいて現値を下回る6万ドル付近の建玉が増加している。このことは、投資家が短期的な価格変動リスクの高まりを意識し、下方向への備えを強めていることを示唆するものである。
一方で、板情報を見ると、現値より下の価格帯には多くの指値注文が確認される一方、上値方向の注文は比較的少ない状況である。この構造は、下落時には一定の買い支えが期待されるものの、ポジティブなニュースが発生した場合には上値の売り圧力が薄く、急騰しやすい需給環境となっていることを意味する。
現時点において、ビットコインの最大の注目材料は、ホワイトハウスが期限としているクラリティー法案の妥結の可否である。
同法案の交渉は依然として難航しており、妥結が見送られる可能性も浮上している。この場合、制度的不透明感の継続により、暗号資産市場の不安定な状況が続く可能性がある。
一方で、法案が妥結した場合には、暗号資産市場にとって新規参入を呼び込む制度的な前進となり、投資家心理の大幅な改善を通じて価格上昇要因となる可能性が高い。
したがって、短期的にはクラリティー法案に関するニュースフローが、ビットコインの方向性を決定づける最大の要因となると考えられる。今後数日間のニュースには特に注意が必要である。
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