ロシアのメディア「ヴェドモスチ」は12月4日、大統領府のマキシム・オレシュキン副長官がビットコインを含む仮想通貨マイニング収益をロシアの貿易収支に計上すべきだと提案したと報じた。
貿易収支とは国の輸出入を記録する統計で、現在マイニング収益は標準的な決済チャネル外で取引されるため記録されていない。
オレシュキン氏は投資フォーラム「ロシア・コーリング!」で、マイニングで得られる「莫大な金額」は実質的に隠れた輸出だと述べた。仮想通貨で輸入代金を支払えるため外国為替市場に影響を与えるが、公式統計に反映されていないという。ロシアでは2024年11月1日に仮想通貨マイニングが正式に合法化されている。
ヴィア・ヌメリ・グループのオレグ・オギエンコCEOによると、マイニングはロシア経済で既に重要な位置を占めている。今年のビットコイン( BTC )などの生産量は数万BTCに達する可能性があるという。
産業マイニング協会のセルゲイ・ベズデロフ理事によると、2023年のロシアでのビットコイン採掘量は約55,000BTC、2024年は35,000BTCだった。
また51ASICの共同創設者ミハイル・ブレジネフ氏は、ロシアのマイニング収益が1日約10億ルーブルに達すると試算している。採掘された仮想通貨は輸入代金の支払いなどに使用できる資産であるため、貿易収支に計上するのが合理的だとしている。これは仮想通貨による支払い取引を公式統計に反映させ、外国貿易の流れの一部として記録することで可能になるという。
コンサルティング会社パララックスのミハイル・ウスペンスキー氏によると、昨年1年間で大規模マイニング事業者の40%が合法化された。これは多額の取引高と法人税収入をもたらしているため、計算上このセグメントを無視することはできないという。
さらに、ロシア中央銀行は5月28日、金融機関が適格投資家に対して仮想通貨価格に連動する金融デリバティブや証券の提供を許可すると発表していた。提供が許可される商品は「現物受け渡し不可」が条件で、投資家は仮想通貨の価格変動への投資機会を得るが実際の現物は取得できない。ロシアは2020年に投資信託やブローカーによる仮想通貨関連商品の提供を禁止していたが、段階的に規制を緩和している。
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