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米トランプ政権、量子コンピュータ企業へ株式取得型支援検討か 関連銘柄が急騰=WSJ報道

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ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、米トランプ政権は、連邦政府からの資金提供と引き換えに、複数の量子コンピュータ企業と株式取得に向けて協議を進めている。関係者の話によると、IonQ、Rigetti Computing、D-Wave Quantumなどの企業が、合意の一環として政府を株主として迎え入れることを協議しており、Quantum Computing社やAtom Computing社など、他の企業も同様の合意を検討しているという。

この報道を受け、23日に量子関連銘柄は軒並み上昇した。Quantum Computingの株価は9.8%、IonQは9.8%、Rigetti Computingは11%上昇。D-Wave Quantumは20%の大幅な上昇となった。

これらの企業は、有望なテクノロジー企業を対象とした連邦政府の資金援助をめぐって競っている。合意に達した企業は、政府から一社あたり最低1,000万ドル(約15億円)の支援を受ける可能性がある。

トランプ政権は、連邦政府の企業向け補助金を株式取得に転換する形で、重要鉱物や半導体の米国内サプライチェーン確保に向けた取り組みを強化している。その背景には、中国依存の低減という目標がある。

政府による企業株式取得の例には、8月に半導体大手インテルの株式約10%を取得することで合意したケースがある。7月には、国防総省がレアアース採掘企業MPマテリアルズの株式4億ドル分を取得し、筆頭株主となった上で新たな資金投入に合意した。

そして今回、政府の出資型支援が、次世代の重要技術とされる量子コンピューティング分野に向かう兆候を示している。

オンライントレーディング企業IGの主任市場アナリストであるクリス・ボーション氏は、「量子コンピューティングは、米国経済に真の革命をもたらす可能性を秘めており、その意味で、政権は型破りな方法で物事を進めていると言える」と述べた。

なお、米商務省の担当者はCNBCに対し、量子コンピューティング企業との株式取得協議を行っていないと否定している。

量子コンピュータ分野では、優位な立場を得るため世界各国が積極的な支出を行っている。

欧州国際政治経済学センター(ECIPE)が2025年3月に発表した報告書「量子技術パフォーマンスのベンチマーク」によると、中国は国家量子プログラムに約150億ドル(約2.3兆円)を投じており、公共投資額でトップを占めている。米国が約80億ドル(約1.2兆円)でこれに続き、日本、英国、ドイツが公共投資額で上位5位に入っている。

これらの国々は、量子技術の開発に合計550億ドル(約8.4兆円)の資金を拠出するとしている。

Googleは22日、量子コンピュータがハードウェア上で検証可能なアルゴリズムを正常に実行できることを示す研究結果を発表した。

同社は、昨年12月に発表した量子チップ「Willow」を用いて、「量子エコー(Quantum Echoes)」と名付けられた新たなアルゴリズムの高速化を実証した。量子エコーは従来型のスーパーコンピュータの1万3,000倍の速度で動作し、分子構造の計算を可能にするものだという。この成果は再現可能であり、実世界への応用の道が開かれると同社は主張している。

この新技術は、高度なエコーのように機能する。綿密に調整した信号を量子システム(Willowチップ上の量子ビット)に送信し、1つの量子ビットに摂動を与え、信号の進行を正確に反転させることで、戻ってくる「エコー」を測定するものだとGoogleは説明している。

この量子エコーは量子波の「建設的干渉」によって増幅されるため、極めて高感度な測定が可能になるという。同社は、この技術がこれまで観測できなかった自然現象を測定できる「量子スコープ」への一歩となると期待している。

関連: 仮想通貨の暗号技術への影響は?グーグル 量子コンピューターチップ「Willow」を発表

量子コンピュータの進化によって、暗号資産(仮想通貨)を支える暗号技術が脅かされる可能性が、さまざまな専門家から指摘されている。

主な脅威の一つが、暗号セキュリティの崩壊リスクだ。量子コンピュータの高度な計算能力によって、ビットコインの公開アドレスから秘密鍵を逆算可能になり、資金の盗難や二重支払い攻撃が発生する可能性が危惧される。また、過去の取引履歴がすべて暴露される懸念も指摘されている。

仮想通貨データ分析企業CoinMetricsの共同創業者ニック・カーター氏は、量子コンピュータがビットコインにとって最大のリスクであると指摘し、緊急かつ真剣に取り組むべき課題だと警告している。

仮想通貨ヘッジファンドCapriole Investmentsの創設者チャールズ・エドワーズ氏は、2,500個の論理量子ビット(量子コンピュータのエラー訂正された有効なビット単位)でセキュアハッシュアルゴリズム(SHA-256:ビットコインのハッシュ関数)が破られる可能性があるとし、5~10年以内に量子脅威が現実化する可能性を約50%と見積もっている。

仮想通貨ソラナ( SOL )共同創設者のアナトリー・ヤコベンコ氏は、量子コンピューターの急速な進歩が、ビットコインのセキュリティを大きなリスクにさらす可能性があると警告。その脅威に備えるために、「ビットコインを量子耐性のある署名方式に移行すべきだ」と主張している。

関連: 「量子コンピュータはビットコインの最大リスク」、CoinMetrics共同創設者が警告

関連: 「5年以内にビットコインを量子耐性にアップグレードすべき」ソラナ共同創設者が警告

量子コンピュータの脅威は誇張されていると主張する専門家もいるが、仮想通貨業界では量子コンピュータの存在を前提とした具体的な対応策に関する議論も高まっている。開発者へポスト量子暗号(PQC)アルゴリズムへの移行を呼びかける動きもある。

米国国立標準技術研究所(NIST)は現在、量子コンピュータによる暗号解読に対しても安全と考えられるアルゴリズムであるポスト量子暗号(PQC)の開発に取り組み、標準化作業を進めている。

個人レベルで、今すぐできる対策としては鍵の適切な管理がある。具体的には、ウォレットアドレスの再利用は避け、取引後は可能な限り資金を新しいアドレスに移動することが推奨されている。

関連: 量子コンピュータはビットコインの脅威となるのか?専門家がリスクと対策を解説

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