ビットコイン1750万円台で方向感欠く、ジャクソンホール会議が転換点に|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は振れ幅を伴いつつも方向感に欠ける展開となり、15日正午時点で、1750万円周辺で推移している。
先週末のアルトコイン相場の上昇からの循環で、週明けのBTCは上値を試す展開で1750万円から1800万円まで上昇。しかし、米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、海外時間から上げ幅を縮小し、結局は上に往って来いとなった。
12日に発表された7月の米CPIは、コア指数が前年比で上振れたものの、総合では市場予想比で下振れ、大きなサプライズはなかった。市場はCPIの結果を受けてFRBによる9月の利下げを織り込み、BTCは徐々に戻りを試した。
13日の米国時間には、ベッセント米財務長官が9月の50ベーシスポイント(bp)利下げが適切と発言した上、政策金利は現在より150〜175bp低くあるべきとしたことで、大幅利下げ期待がBTC相場を押上、一時は1824万円まで上昇した。
一方、翌14日東京時間は反動安で1800万円を割り込むと、7月の米卸売物価指数(PPI)が大幅に上振れたことで、9月の大幅利下げ観測が後退し、BTCは1750万円周辺まで一段安を演じた。
14日の相場下落により、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物は先週末に開けた下窓を埋めた。また、1750万円周辺には中期の移動平均線、一目均衡表の基準線、さらにはボリンジャーバンドのセンターラインが走っており、テクニカル的なサポートが豊富となっている。
米PPIサプライズによって米金利は急反発し、FRBによる9月の大幅利下げ観測は後退したが、FF金利先物市場では依然として9月の25bp利下げが90%以上の確率で織り込まれており、PPIショックの影響は一時的とみている。
2007年から2008年にかけて米国でインフレが加速するなかで利下げが行われた際は、住宅市場と労働市場の支援が背景にあったことから、この先は雇用関連指標が利下げの有無を判断する上でより重要になってくる可能性があるだろう。
さて、来週21日~23日にはジャクソンホール会議が開催される。パウエルFRB議長の講演は22日に予定されており、来週は同氏の発言が最大の目玉材料となるだろう。
パウエル議長はこれまで関税によるインフレ再燃を懸念して金利の据え置きを頑なに主張してきたが、7月の雇用統計の結果を受けて、少なからず労働市場のリスクを意識せざるを得ないと言えよう。
ただ、9月のFOMCは1カ月先となっており、それまでに8月の雇用統計とCPIが控えている。インフレ加速が示唆される現状では、継続的な労働市場の減速が確認されなければ、利下げ再開の可能性は低いと言え、ジャクソンホールではパウエル議長が現時点でどれだけ労働市場のリスクを重く受け止めているかが注目される。
インフレを懸念しつつも、労働市場の状態を考慮して利下げを議論する余地が示されれば、BTC相場には追い風と言えるが、慎重姿勢を貫けば市場の利下げ期待に冷水を浴びせるだろう。
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