Base Appとは?コインベースのWeb3アプリの使い方を徹底解説
2025年7月、Coinbase(コインベース)は『A New Day One』と題した発表を行い、イーサリアム( ETH )のレイヤー2チェーンとして展開してきたBase(ベース)の“次の章”を正式にスタートさせました。
この発表では、グローバルなオンチェーン経済の基盤となる新しいBasechain(ベースチェーン)、開発者支援のためのBase Build(ベースビルド)、クリエイターが価値を直接受け取れる次世代アプリとしてのBase App(ベースアプリ)の、3つの柱が打ち出されました。
このうちBase Appは、従来のCoinbase Wallet(コインベースウォレット)を大幅に進化させたもので、仮想通貨(暗号資産)の取引や管理に加え、ソーシャルネットワーキング、決済、チャット、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)、ゲームなど多様な機能を1つのアプリに統合。
web3体験を身近にする「スーパーアプリ」として位置付けられています。
また、従来のSNSのようにプラットフォームがコンテンツとユーザーデータを管理し、価値や収益の大部分を獲得するのではなく、Base Appではユーザーがそれらを直接制御します。
さらに、クリエイターはアイデンティティとコンテンツを複数のアプリ間で自由に共有することが可能です(同じアカウントで、所有するデータを他のアプリと行き来させることができる仕組みです)。
コインベース CEOのブライアン・アームストロング氏が「オンチェーンの新しいホーム」と称するこのアプリは、2025年7月16日の発表後、COIN(コインベースのティッカーシンボル)株価が過去最高の444.65ドル(7月19日)を記録する中で市場の注目を集め、イーサリアムのユーティリティ向上への貢献も期待されています。
Base Appは、現在ベータ版として既存ユーザー向けに段階的に公開。さらにコミュニティでは、将来のエアドロップの可能性についても話題となっており、ユーザーや開発者の関心を一層高めています。
本記事では、Base Appの特徴や始め方、将来の展望までを詳しく解説し、web3の最前線に触れるためのガイドをお届けします。
なお、Baseの発表には開発者向けの「Base Build」なども含まれていますが、本記事ではユーザー向けのBase Appに焦点を当ててご紹介します。
関連: コインベース、次世代アプリ「Base App」を発表ソーシャル・決済・NFT機能統合へ
Baseは、「インターネットの次の章は、巨大プラットフォームではなくクリエイターから生まれる」というナラティブに基づき、Base Appを開発しています。
本章では、Base Appがどのようにしてクリエイター主導のエコノミーを実現しようとしているのか、その仕組みと特徴を見ていきましょう。
Base Appの中核をなすのが、「Base Account(ベースアカウント)」です。秘密鍵の管理や署名の煩雑さをなくし、パスキー(生体認証)でWeb3にアクセスできる、使いやすさを重視したスマートアカウント(操作やセキュリティを自動化できる新しいタイプのウォレット)です。
従来のEOA(通常のウォレット)も引き続き利用可能ですが、今後はスマートウォレットが標準となることが想定されます。
Base Appでは、web3版のXのようなインターフェイスの分散型SNS「Farcaster(ファーキャスター)」を活用し、誰でも簡単に投稿・交流・収益化を行えるソーシャル機能が統合されています。
さらに、投稿はZora(クリエイターの作品をNFT化・販売できるプロトコル)と連携し、コンテンツを直接収益に変えることが可能です。
Base Appは、Web3体験のすべてを1つのアプリに集約。アプリを切り替えることなく、ソーシャル、決済、資産管理、エンタメなどの機能をシームレスに利用できます。
①ソーシャル機能と収益化
Farcasterによる分散型SNSの投稿機能に加え、いいねやフォロー、コメントなどのアクションで自動的にチップを送れる「Noice」機能を搭載。
さらに、動画や投稿をAIを使用して作成、販売(二時販売も可能)できる仕組みにより、クリエイターは自身のコンテンツから直接収益を得られます。
②ミニアプリとゲーム体験
フィード内からミニアプリ(ゲーム、予測市場、ツール系アプリ)をそのまま操作可能。インストール不要で、AIを使ったゲーム作成機能「リミックス」では、数分で自分だけのゲームを公開・共有できます。
③ウォレット・資産機能
数百万のオンチェーンコインを高速かつ簡単に売買・交換でき、NFCタップ(スマホなどの端末同士をタッチするだけで決済ができる方法)によるUSDCの無料送金も対応。
USDCを使った即時決済「Base Pay」や、Shopifyとの連携により、オンチェーンeコマースの可能性も広がっています(米国限定)。
さらに、USDCをBase Appに保有するだけで最大年利4.1%の報酬を獲得できる機能も備えています(米国市民向けでKYCが必要な可能性。日本での利用可否は要確認)。
関連: コインベース、ステーブルコイン決済「Coinbase Payments」開始
このようにBase Appは、単体のアプリとして完結するものではなく、Web3全体への入口となる統合プラットフォームとして設計されています。
アスター( ASTR )創設者であり、Startale Group(スターテイルグループ)代表取締役CEOでもある渡辺創太氏は、Base Appについて自身のXアカウントで次のように投稿しています。
Base Appをめぐる注目の話題が、将来的なエアドロップの有無です。多くのレイヤー2プロジェクトがトークンを無料配布してきた実績から、Baseにも同様の展開を期待する声が高まっています。
しかし、Baseの責任者Jesse Pollak氏は「現時点で独自トークン発行の計画はない」と明言しており、公式な発表や配布予定は存在しません。
それでも期待が根強いのは、アービトラム( ARB )やオプティミズム( OP )が過去に実際の利用実績に基づきトークンを配布してきたことが背景にあります。
Baseでも、2024年にミントされたBase Bridge Pass NFTや、dApp(Decentralized Application:分散型アプリ)の利用、ネットワーク上の活動履歴が、将来の報酬と結びつく可能性があるとして議論されています。
・現時点で「確定」とされる情報はなく、SNSや偽サイトによる詐欺情報の拡散に注意が必要です。公式発表のない段階では、CoinbaseやBaseの公式X・Webサイトを必ず確認しましょう。
・エアドロップの可能性を期待しつつも、過度な憶測は避け、冷静に行動することが重要です。
次の章では、Base Appのベータ版を実際に始める方法を詳しく解説します。
Base Appのベータ版を試すには、まずETH(イーサリアム)をウォレットに送金しておく必要があります。ここでは、国内取引所でのETHの購入から、ウォレットへの送金までの実用ステップを中心に解説します。
まだインストールしていない場合は、Coinbase Walletアプリをスマートフォンにダウンロードしてください。
①新しいウォレットを作成を選択
②ユーザー名とプライバシー設定を決定(他ユーザーとの送金に利用)
③生体認証またはパスコードを設定(生体認証がおすすめ)
④リカバリーフレーズをバックアップ
・「クラウドに保存」または「手動バックアップ」を選択
・Coinbaseは復元できないため、復元フレーズとパスワードは安全に保管
⑤フレーズの一部を確認してバックアップ完了
これでウォレットの準備は完了です。
アプリを開き以下の画面で、ベータ版開始の通知を受け取りたい場合は、「Notify me」をクリックします。また、ベータ版のWaiting listにはBaseの公式サイトからも登録可能です。
次に、ETHの購入方法を解説します。
ウォレットの設定が完了したら、次に国内取引所でETHを購入するために円の入金を行います。円の入金方法は、対応している銀行などが交換業者によって異なるので、必要に応じて事前に確認しておくことをお勧めします。
入金では、主に以下のような方法で最初に円を交換業者の口座に預け入れます。
入金後、自身の口座に円の残高が反映したら、取引所か販売所を選び、必要事項を入力して購入手続きを行います。
ここでは、SBI VCトレードでの購入方法をご紹介します。
SBI VCトレードは、ETHの「販売所」を提供しています。「販売所」では、同社が設定した価格でETHの売買が行えます。購入は提示された買取価格で、売却は売り価格で行われ、操作が直感的で初心者にも理解しやすいです。しかし、購入価格と売却価格の間にスプレッド(価格差)があるため、短期トレードには不向きです。
ログイン後、購入したい通貨を選ぶとチャート画面が表示され、右下の「買う」ボタンから購入画面へ進めます。注文方法は、すぐに取引が成立する「今すぐ注文」と、希望価格で自動売買する「価格指定注文」の2種類があります。
「今すぐ注文」は表示価格で即時に取引され、初心者にもわかりやすい方法です。一方、「価格指定注文」では希望の価格や数量を設定し、条件が満たされたときに自動で取引が行われます。
国内取引所で購入したETHを、Coinbase Walletに送金します。
1, まず国内取引所で出庫先(Coinbase Wallet)を指定するためのアドレスを取得します。
①Coinbase Walletアプリを開き、右下のウォレットアイコンをタップ→右上のコピーアイコンをタップ。
②Ethereumのアドレスをコピー。
2, 国内取引所の出庫画面でネットワークを「Ethereum(ERC-20)」に設定し、このアドレスを指定します。
①SBIVCトレードの公式アプリを開き、「資産 / 入出金」から「ETHを送る」を選択
②「アドレスを登録する」をタップし、Coinbase WalletでコピーしたETHの送信先を登録
登録が完了すると、「送信先アドレス一覧」に登録したアドレスが表示されるようになります。
③登録したアドレスをタップし、数量を入力
④「イーサリアムを送る」をタップすると、登録したメールアドレス宛に以下のような確認メールが届くため、メールに記載されているリンクをタップ
⑤タップした後に「出庫予約の受付が完了致しました。」と書かれた画面が表示されれば、出庫予約が完了となります。
出庫状況は「送信先アドレス一覧」の「送金状況を確認する」で確認できます。
関連: イーサリアムの買い方|初心者向け取引所比較とリスク・税金まで解説
国内取引所から出庫したETHは、Coinbase Walletのイーサリアムチェーン上にあるので、ここでBaseチェーンへブリッジします。ブリッジは、複数チェーン間の送金に対応したブリッジアプリ「Stargate(スターゲイト)」を使用します。
①左下の地球儀アイコン(dAppブラウザを開く)をタップ→右上のBridgeをタップ→「Stargate(スターゲイト)」を選択。
②「From」にイーサリアムチェーンを選択し、「To」にベースチェーンを選択し、ブリッジしたい数量を入力します。
③Transferをタップすると、ETHをベースチェーンに移動できます。
これで、Baseチェーンでの操作や取引に使えるETHが準備できました。
ガス代についての注意
イーサリアムメインネットからStargateでブリッジする場合、ガス代は通常$5~$15(ETH $3,000換算)ですが、ネットワーク混雑時は高額になる場合があります。
これに対し、Coinbase Walletが対応するBase、Avalanche、BNBチェーン、Polygon(現:POL)ネットワークを利用すると、海外取引所経由で手数料を抑えられる可能性があります(例:Polygon $0.1~$0.5、BNBチェーン $0.5~$2)。ただし、海外取引所の利用はKYCや日本の規制に注意が必要なため、上級者向けです。
ベータモードが有効になると、スマートウォレット(Base Account)が作成され、Farcasterやミニアプリ(ウォレット内で使える小さなweb3サービス)、USDCによるBase Pay(米国限定の可能性)などが利用可能になります。分散型SNSやDeFiも、アプリ内でシームレスに体験できます。
・日本からのアクセスでは、一部機能に制限がある場合があります。最新のアップデート情報をチェックしてください。
・詐欺サイトにご注意を。ウォレット接続時はURLの正確性を必ず確認してください。
2025年7月のアップデートにより、Coinbase Walletは自動的にBase Appへとアップグレードされました。資産や秘密鍵はそのまま引き継がれ、アドレスも変更ありません。
UIや機能は大幅に刷新されましたが、従来のEOA(通常のウォレット)も引き続き利用可能で、スマートアカウント(Base Account)への移行も任意です。
投稿やアプリ連携などの新機能は追加されていますが、基本的な操作性や資産管理機能は変わらないため、既存ユーザーも安心して使い続けることができます。
Base Appは、単なるウォレットを超えた「web3時代の“SuperApp”」としての進化を遂げつつあります。チェーン、アプリ、インフラを一体化した体験を通じて、Web2に匹敵する、あるいはそれ以上のユーザビリティを目指しています。
このような方向性については、アスター(ASTR)創設者である渡辺創太氏も、X上で以下のような見解を投稿しています。
このように、Base Appはただのウォレットではなく、ユーザーの資産管理・取引・ソーシャル・アプリ利用までを一貫して担う次世代プラットフォームとして進化しようとしています。
関連: コインベース、米SECにトークン化した株の取引サービス提供認可を要請=報道
Base Appは、web3を気軽に始めるための最適なアプリです。
単なるウォレットではなく、資産管理や決済、ソーシャル機能までを備えた次世代のオンチェーン体験プラットフォームとして進化しています。
Coinbase Walletをアップデートし、国内取引所でETHを用意すれば、誰でもすぐにweb3の世界にアクセスできます。今、Base Appを使い始めることで、web3のトレンドを先取りし、その可能性をいち早く体感することができるでしょう。
Q1. Base Appに独自トークンはありますか?
A. 現時点で独自トークンはなく、Baseチェーン上ではETHが使われます。将来的にトークン導入の可能性はありますが、公式発表は未定です。最新情報は公式サイトや@base(X公式)をご確認ください。
Q2. エアドロップはありますか?
A. 公式発表はありませんが、NFT保有やDApp利用などオンチェーン活動が対象になるのはWeb3で一般的です。Baseでも同様の展開が期待されており、Farcaster投稿やミニアプリ利用など、積極的な活用がおすすめです。
Q3. 日本からBase Appは使えますか?
A. はい、主要機能(ウォレット管理、DApp利用、ETHブリッジなど)は日本から利用可能です。ただし、Base Payや一部のDAppは地域制限により利用できない場合があります。
Q4. Coinbase Walletを使っていた場合はどうなりますか?
旧Coinbase Walletは、2025年7月以降のアップデートで自動的にBase Appへアップグレードされます。資産や秘密鍵はそのまま引き継がれ、アドレスも変更ありません。
一部の新機能(例:Farcaster連携やBase Pay)は、ベータ版モードでのみ利用可能です。設定から「Beta Mode」の有効化を確認し、表示がない場合は待機リストへの登録が必要です。
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