トランプ大統領、イーロン・マスクに対する批判を再び展開、 『大きく美しい法案』巡る対立が再燃
ドナルド・トランプ米大統領は1日、イーロン・マスク氏に対し、自身のソーシャルメディア「Truth Social」で強い批判を再び展開。テスラやSpace Xといったマスク氏の企業が、いかに政府補助金から恩恵を受けているかについて、政府効率化局(DOGE)に「徹底的に調査」させるべきだと述べた。
事の発端は、トランプ氏が推進する大型税制・歳出改革法案「One Big Beautiful Bill(大きく美しい法案)」をマスク氏が「財政赤字を増やす愚策」と非難したことだ。
同氏はこの法案が通るようなことがあれば、翌日には民主・共和二党制に代わる「アメリカ党」を結成されるだろうと強調した。
マスク氏の強硬な姿勢に対し、トランプ大統領は痛烈な批判で返している。
さらに、マスク氏に強制的な国外退去措置を講じる可能性について、記者団から問われると、トランプ大統領は「検討する必要がある」と答えた。
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特別政府職員としてDOGEを率いていたマスク氏は5月末に退任後、トランプ大統領が推進する「大きく美しい法案」を強く批判する立場に転じた。
マスク氏は、この法案が「巨大でばかげた利益誘導の塊」であり、「アメリカの数百万の雇用を破壊し、国に甚大な損害を与える」と主張。一方、同法案には、バイデン政権下で可決され、テスラなどの企業に利益をもたらしてきたグリーンエネルギー税額控除の段階的廃止なども含まれていたため、マスク氏は自身の企業利益を保護するために、反対しているとの指摘も見られた。
トランプ大統領も、マスク氏が「大きく美しい法案」で電気自動車(EV)の補助金や義務化が取り除かれたことに不満を持っていると主張。「イーロンが急に問題を抱えるようになったのは、EV義務化を私が取り除くと知ったからだ。彼はそれでおかしくなったんだ。」と、マスク氏の動機がテスラのビジネス上の利益にあると非難した。
しかし、マスク氏は、法案で優先すべきは電気自動車市場への影響ではないと述べている。むしろ、今後数十年にわたる連邦債務の膨張こそがこの法案に対する懸念の最たるものであり、DOGEで成し遂げた政府債務削減の提案が損なわれることを憂えているという。
トランプ大統領の補助金に対する指摘に対し、マスク氏はXへの投稿で「今すぐ、補助金を全額カットしてみろ」と反論し、対立はエスカレートしている。
一時は修復されたと思われたマスク氏とトランプ氏の関係は、ここに来て再び緊迫感が増し、関係は崩壊しつつあるように見える。この関係などを背景に、テスラの株価は1日に5.3%下落した。
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「大きく美しい法案」は1日、米上院で可決された。投票結果は51対50の僅差で、JDヴァンス副大統領が決定的な1票を投じて、かろうじて可決に至った。
超党派の議会予算局によると、上院が可決した法案は、2025年から2034年の間に財政赤字を約3.3兆ドル(474兆円)増加させる見込みで、下院で可決された法案より約1兆ドル多い。
暗号資産(仮想通貨)関連では、300ドル未満の取引に対する免税措置や、マイニング・ステーキング報酬の課税見直しを目的とする修正案も提出されていたが、採決には至らず審議から除外された。この税制改正案には、仮想通貨決済の利便性向上や、二重課税の是正を期待する業界団体が支持を表明していたが、法案に盛り込まれることはなかった。
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