ポール・アトキンスSEC新委員長が米国のイノベーション奨励姿勢を鮮明に DeFiに適合する規制改正検討を指示
米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は9日、ワシントンDCで開催された5回目の仮想通貨円卓会議において、「分散型金融(DeFi)活動の根幹には、経済的自由や私有財産権、イノベーションといった米国の価値観が存在する」と強調した。
その上で、「ブロックチェーンは仲介者不要の革新的な技術であり、その技術が支えるネットワークは、参加者による経済的メカニズムが組みこまれた自由市場システムである」と述べた。
今回の会議は「DeFiとアメリカ精神」と題され、ヘスター・パース委員、マーク・ウエダ委員、キャロライン・クレンショー委員とともに、業界からはDeFi関係者らが参加。DeFiの技術的・経済的影響、規制の課題、将来の展望について議論した。
アトキンス氏は、前バイデン政権下のSECは、DeFi参加者やステーキングサービス提供者が証券取引に関与する可能性があると主張し、訴訟など執行による規制により、米国民の市場参加を阻止したと批判。一方、現在のSECの企業金融部門が、マイナーやバリデーター、ステーキングサービス提供者は、連邦証券法の適用範囲外であるという見解を明確に示したことに感謝すると述べた。
同氏は、この措置には満足しているが、ここで止まることなく、法的効力を持つ正式な規則として制定する必要があると訴えた。
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アトキンス氏は、個人が仮想通貨を自身のデジタルウォレットで自己管理可能であることは、ブロックチェーン技術の核となる特徴であると指摘。「私有財産を自己管理する権利は、アメリカの根底にある価値観であり、インターネットに接続したからといって消えてはならない」と主張した。
前政権では、SECが規制措置を通じて、自己保管ウォレットやスマートコントラクトの開発が、仲介活動にあたる可能性があると主張し、イノベーションを阻害したと批判。ソフトウェア開発やコード公開を行うエンジニアは、証券法の対象となるべきではないと強調した。
アトキンス氏は、「未来を無条件に恐るべきではない」と述べ、オンチェーン自己実行型ソフトウェアシステムが、危機に対して耐性があると主張。近年の金融危機で中央集権型プラットフォームが機能不全に陥った一方で、DeFiの自己実行型ソフトウェアが、オープンソースコードに基づき設計通りに機能したことを高く評価した。
そして、現在の証券規制は、証券会社などの発行者や仲介者を前提としており、DeFiの自己実行型コードを想定していないと指摘。SEC職員に対し、DeFiに適合した規制やガイダンスの検討を指示したと述べた。
アトキンス氏は、オンチェーン・ソフトウェア・システムを活用した経済摩擦の解消に期待を寄せている。そのため、オンチェーン金融システムの管理を目指す発行者や仲介業者にとって必要な便宜を図るために、SEC規則や規制の改正が適切であるかどうか、スタッフに検討を依頼したことを明らかにした。
さらに適切なルール策定と同時進行で、SECの管轄下にある事業体がオンチェーン製品やサービスを「迅速に」市場に投入できるような、条件付きの免除の枠組みである「イノベーション免除」の検討を指示したという。
アトキンス氏は、この枠組みにより、より多くの開発者や起業家、企業にオンチェーン技術を活用したイノベーションを奨励することが可能になり、米国を「世界の仮想通貨の首都」にするというトランプ大統領のビジョンを実現する可能性があると考えている。
円卓会議に参加した分散型取引所ShapeShiftの創業者、エリック・ボーヒーズ氏は、12年前に初めてSECから召喚状を受け取った際には、数年後にSECで講演を依頼されるとは思ってもいなかったが、このようなSECの論調と姿勢の変化を高く評価すると称賛。「米国に大きなプラスになるだろう」と述べた。
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