トランプEU関税延期でビットコイン反発、HYPE史上最高値更新の背景は
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン( BTC )は前日比+1.68%の1BTC=109,478ドルに。
トランプ大統領は23日、自身のSNSで欧州連合(EU)からの輸入品に対して6月1日から50%の関税を課すことを示唆する投稿を行った。「EUとの貿易交渉が行き詰まっている」として、強硬姿勢を鮮明にした
この発言を受け、暗号資産市場では一時的な売り圧力が発生。株式先物市場やビットコインをはじめとする主要通貨が急落し、投資家の間でリスクオフムードが広がった。
しかし、25日のフォンデアライエン欧州委員長との電話協議で関税発動が7月9日まで延期されることが判明。市場の過度な反応への修正買いで反発が見られた。
今後の注目点としては、7月9日までの約1ヶ月半の猶予期間で、米EU間の貿易交渉がどの程度進展するかが市場の関心事となる。
昨今では、世界的なマクロ経済環境の悪化や米国債の格下げにもかかわらず、ビットコインが新高値を更新している。
米国と日本の債券利回りが急上昇し、世界経済成長が鈍化、米国消費者信頼感も過去最低水準に落ち込む中での価格上昇は、投資家のリスク認識と避難先の選択に根本的な変化が起きていることを示している。
米国債利回りの上昇が国家財政に深刻な影響を与えている。米国の債務残高が36.8兆ドルを超える中、利払い総額は2025年に9,520億ドルに達する見込みだ。
トランプ大統領は利回り低下を最重要課題に掲げているが、その実現手段は限られている。FRBによる利下げまたは量的緩和(QE)が必要だが、関税戦争によるインフレ懸念からFRBは両戦略に抵抗している。政治的圧力による介入は投資家の信頼を損ない、逆効果を招く可能性が高い。
バンク・オブ・アメリカの調査によると、5月初旬時点で機関投資家の38%が米国株をアンダーウェイトとしており、2023年5月以来の最低水準を記録。
一方、ビットコイン現物ETFへの資金流入は継続し、運用資産総額は1,040億ドルを超えて過去最高を更新。機関投資家がビットコインを単なる高リターン資産ではなく、政治的に中立な価値保存手段として認識し始めている。
従来、債券利回り上昇はリスク資産の下落を招いたが、現在は株式とビットコインが上昇を続けている。この乖離は、システムへの信頼が揺らぐ中で、投資家が従来の枠組みから脱却していることを示している。
専門家からは、法定債務に基づく経済システムの不安定性が高まる中、ビットコインは予測可能性と分散化に基づく信頼できる代替通貨システムとして台頭しているとの指摘がある。
ジェームズ・ウィン氏と見られる分散型取引所Hyperliquidのクジラ(大口投資家)が波紋を投げかけている。
BlockBeatsの報告によると、ウィン氏は土曜日に総額約12億5000万ドル相当のビットコインロングポジションを決済した直後、日曜日には10億ドルを超える大規模なショートポジションを新たに開いた。この方向転換により、1,750万ドル以上の損失を計上したものの、現在のショートポジションでは約300万ドルの利益を上げている。
トップトレーダー1人であるユージン・ン・アー・シオ氏は、ウィン氏の大規模ポジション公開について懸念を表明。「こうした行動は往々にして賢明ではなく、そのマイナスの外部効果がプラスの影響を上回る傾向がある」と指摘し、過度なレバレッジを考慮すると、長期的なポジション管理に注視が必要だと強調した。
一連の大口取引活動により、Hyperliquidプラットフォームの未決済建玉は過去最高を記録。
プラットフォームのネイティブトークンであるHYPEも恩恵を受け、過去24時間で8%以上上昇し、現在約37.28ドルで取引されている。これは土曜日に記録した史上最高値38.68ドルをわずかに下回る水準だ。
CoinGlassによると、損失にもかかわらずウィン氏のHyperliquidでの総利益は4,000万ドルを超えており、同プラットフォームにおける影響力の大きさを物語っている。
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主要アルトコインの勢いが削がれる中、Hyperliquid(ハイリキ)のHYPEトークンが過去最高値を更新した。
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市場データ分析企業Lookonchainのアナリストは、「このような最近のクジラ活動は、わずか2日間で2,700万ドル以上が投資されており、HYPEトークンに対する強い強気感情を示している」と指摘した。
調査機関Coincuの分析によると、大口投資家による継続的な買い増し圧力がHYPEの持続的強気サイクルを牽引する可能性が高く、長期投資家にとって良好な投資環境が形成されつつあると評価している。
HYPEへの投資マネーの流入は、分散型取引所セクター全体に対する市場の関心を押し上げる効果をもたらしている。Hyperliquidプラットフォームの着実な成長と収益性改善、加えて過去の大規模エアドロップ実績と近い将来のエアドロップ期待が投資インセンティブとして機能し、DeFiプロトコルトークンに対する投資戦略の再評価を促しているものと考えられる。
仮想通貨アナリストのAnsem氏(@blknoiz06)はこの点について、2021年初期のソラナ(SOL)と2025年のHyperliquid(HYPE)の価格チャートパターンに「フラクタル(相似形)」な動きを指摘。
その上で、「(HyperCoreとHyperEVMを基盤とする)Hyperliquidの最大の特徴は、収益分配のメカニズムにある。プラットフォーム収益の約97%がHYPEトークンホルダーに直接還元される永久先物取引所として機能している。」と主張した。
Hyperliquidは従来のDEX(分散型取引所)の課題を解決する次世代プラットフォームとして注目されており、オンチェーンデータが示すウォレットアクティビティの活発化と、継続的なトークン蓄積パターンの確認により、国内外のトレーダーを中心にHYPEの市場価値への関心が増しているようだ。
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