米暗号資産(仮想通貨)運用大手グレースケールのリサーチ責任者であるザック・パンドル氏は30日、分散型取引所ハイパーリキッド( HYPE )についてのレポートを発表した。この1年間で収益源を大きく多角化させていると報告した。
パンドル氏は、ハイパーリキッドは弱気相場を挟んだここ1年間に関わらず、2026年9月に約1億500万ドル(約165億円)の収益を上げており、これは前年同期(1億800万ドル)とほぼ同水準だったと指摘した。収益が順調なことの背景に事業の多角化があると述べた格好だ。
レポートによると、2025年半ばにはハイパーリキッドのチームが上場させた仮想通貨の無期限先物契約による取引手数料が収益の90%以上を占めていたが、現在その割合は約64%に縮小している。ハイパーリキッドの事業が広がる中で、残りの収益は主に以下の新たな分野から得られるようになっている。
まず、ハイパーリキッドには第三者(デプロイヤー)が、銀、原油、IPO(新規株式公開)前の株式といった資産の無期限先物契約を上場させることができる仕組みがある。この際、第三者は取引手数料の最大半分を受け取り、残りはハイパーリキッドのプロトコルに分配される。
ビルダー・コードは、外部のウォレット、ユーザー向け取引インターフェース、取引所がハイパーリキッドに注文をルーティングする際に自社の手数料を上乗せできる仕組みだ。
なお、パンドル氏は言及していないものの、ハイパーリキッド本体はこのビルダー・コード手数料、つまり外部サービスがそのユーザーに対して上乗せする手数料を受け取ってはいない。外部ビルダーは、ハイパーリキッドに対してユーザーの支払ったビルダー手数料を請求可能であり、ハイパーリキッドで発生している収益だが、ハイパーリキッド本体の取り分となる収益ではない。ただ、ハイパーリキッドはこうした注文から生じる通常の取引手数料は得られる。
次に、ステーブルコインUSDCについてはコインベースおよびサークル社との取り決めにより、ハイパーリキッド上で保有される約60億ドル(約9,450億円)相当のUSDCから生じる準備金収益のうち、90%がコインベースを通じてハイパーリキッドに還元される仕組みだ。
さらに、ハイパーリキッドは仮想通貨現物に加え、HyperEVMにおけるガス代、優先手数料、新規トークン上場時のティッカー(銘柄コード)オークションなどからも収益を得ている。これらを合わせて9月には約500万ドル(約8億円)の収益を得た。規模は小さいものの、成長を続けている収益源である。
パンドル氏は、以上のようなコア手数料(自社上場の仮想通貨無期限先物)以外の収益は、9月に3,800万ドル(約60億円)に達し、前年同期の2倍になったと指摘した。特に準備金からの利回りは、取引高ではなく預かり資産残高や金利水準に依存するため、より安定した収益源になっていると述べた。
さらに今後、米国のトレーダーが規制に準拠した形でハイパーリキッドにアクセスできるようになれば、それがさらなる成長の原動力となる可能性があると続けた。
例えば、仮想通貨取引所クラーケンの親会社であるペイワードは、ハイパーリキッドの「HIP-3」で、米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下で市場を展開する初の事業者となることを目指しているところだ。
また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)を傘下に持つICEも、HIP-3展開事業者であるTrade.xyzと提携し、ハイパーリキッド上で、米国の規制に準拠した無期限先物市場を設置する計画を公表している。