シンガポール拠点の決済関連ライセンス保有企業dtcpayは18日、シリーズA資金調達ラウンドを総額2,500万ドル規模で完了したと発表した。同ラウンドには日本の大手金融グループSBIグループが戦略的投資家として新たに参画した。
同ラウンドは2026年4月、東南アジア拠点のベンチャーキャピタルVertex Ventures Southeast Asia & Indiaが主導する形で始まった。同社はシンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)傘下のVertex Holdingsの一員で、dtcpayが2026年3月に公表した資料によれば当初の調達額は1,000万ドルだった。
SBIグループは国内で円建てステーブルコイン「JPYSC」を手掛けるなど、ステーブルコイン関連事業を拡大しており、今回の出資も同分野での投資の一環とみられる。
SBIグループは傘下のSBI Ventures Asset Pte Ltdと、南洋理工大学(NTU)系のNTUitive、韓国の教保生命保険グループ系Kyobo Securitiesと共同で2022年に設立した「SBI-NTU-Kyobo Digital Innovation Fund」の2経路を通じて出資した。同ファンドは東南アジアの新興デジタル企業を投資対象とする。
SBIグループ傘下でシンガポールの投資会社SBI Ven CapitalのCEOを務めるエイイチロウ・ソウ(Eiichiro So)氏は、dtcpayについて「決済とステーブルコインを橋渡しする、地域を代表する規制対応の決済インフラとしての地歩を固めてきた」と評価し、今回の出資を「SBIグループにとって、dtcpayとの戦略的パートナーシップの始まり」と位置付けた。
このほか、シンガポール金融管理局(MAS)の認可を受けた資産運用会社Genedant Capital(運用・助言資産20億ドル超)と、既存投資家でシンガポールの実業家クウィー・リョンテック(Kwee Liong Tek)氏も出資を積み増した。Genedant CapitalのCEOクェック・ハウジャン(Quek How Jiang)氏は「日常のコマースにステーブルコイン決済を組み込む規制対応インフラを構築している」とdtcpayを評価した。
dtcpayはシンガポール金融管理局(MAS)認可のMajor Payment Institution(MPI)ライセンスを保有するほか、ルクセンブルクで電子マネー機関(EMI)ライセンスを取得している少数の決済企業の一社で、欧州経済領域(EEA)での規制対応サービス提供が可能。香港、オーストラリア、米国、カナダでもライセンス・登録を保有する。
事業面では、加盟店が店頭でステーブルコイン決済を受け付けられるデジタル決済トークン(DPT)POSソリューションの提供や、700以上のウォレットに対応するWalletConnectとの連携、Visaと提携したステーブルコイン建てVisa Infiniteカード(世界1億5,000万カ所以上の加盟店で利用可能)の展開を進めてきた。
BNBチェーンとの提携も結んでおり、同社によるとシンガポールの百貨店Metroは同国で初めてステーブルコイン決済を導入した百貨店になったといい、キャペラ・シンガポール(Capella Singapore)などのホスピタリティ業でも導入が進む。
調達資金は決済網とマーチャント基盤の拡大に充てるほか、2026年後半にかけて法人向けビジネスポータルの刷新やアプリの新機能追加を予定している。


