グレースケール(Grayscale)調査部門責任者のザック・パンドル(Zach Pandl)氏は11日、AIとパブリックブロックチェーンが補完関係にあるとするレポートを公表した。パンドル氏は、AIの普及がブロックチェーン技術への需要を高める領域として、決済など金融取引、計算・本人確認・レピュテーションの記録、分散型のAI基盤という3つを挙げた。
パンドル氏は「AIとパブリックブロックチェーンは補完的な関係にある」と位置付けた。従来のシステムでは対応できないAI特有の需要に対し、パブリックブロックチェーンが新たな解決策を提供できるとの見方を示した。
AIエージェントが人に代わって行動するには、仲介者を介さずに資金を保有・執行できるプログラム可能なウォレットが必要になる。パンドル氏は、こうした活動が少額決済や即時の国境を越えた決済、自動化された取引・リスク管理への需要を生むと指摘した。
パンドル氏は、パブリックブロックチェーンの中でもイーサリアム( ETH )とソラナ( SOL )が、まさにこうした機能を担えると位置付けた。
企業がAIへの意思決定の委任を増やすほど、どのモデル・データ・規則に基づいて判断が下されたかを検証する必要が生じる。利用者側も、オンライン上で人間かAIエージェントかを区別できることが求められる。パンドル氏は例として、SNS事業者が本人の身元情報を開示させることなく、あるアカウントが実在する1人の人物によるものかを確認する必要が生じる場面を挙げた。
投資や購入代行など重要度の高い業務をAIエージェントに任せる場面が増えるほど、信頼できるレピュテーションの記録も必要になる。パンドル氏は、パブリックブロックチェーンと、その上に構築されたワールドコイン(Worldcoin)の本人確認サービスなどのアプリケーションが、単一の企業や政府の管理下に置くのではなく、透明で中立な基盤にこうした記録を刻む役割を担えるとの見解を示した。
AI開発をめぐる資本・計算資源・支配力は、少数の先端AI研究機関(フロンティアラボ)や大手クラウド事業者(ハイパースケーラー)に集中しているとパンドル氏は指摘する。この集中は、ガバナンスや偏り、検閲といった懸念を生んでいるという。
パンドル氏は、ビットテンソル(Bittensor)のような分散型ネットワークを対照的な選択肢として挙げた。「誰もがアクセスし、貢献し、その一部を所有できる」、グローバルでオープンなAIエコシステムを実現するアプローチだとしている。
パンドル氏はレポートの結論として、AIの普及が仲介を介さない資金管理を可能にする金融インフラとしての需要、計算・本人確認・レピュテーションを検証できる記録層としての需要、そしてオープンでユーザー自身が所有するAIエコシステムの基盤としての需要を、パブリックブロックチェーンに生み出すと総括した。