米上院で少数党を率いる民主党のシューマー議員は30日、大統領による汚職を防ぐための新法案「反汚職局設置法」を提出した。米上院民主党指導部が発表したものだ。
法案は、大統領やその家族、周辺関係者が公権力を私的利益に転用する行為を調査・摘発する新たな独立機関「反汚職局」の設置を柱とする。
同法案は、大統領による汚職で得た資金について、一般市民や州司法長官が返還を求めて提訴できる権限を新設する内容を含む。あわせて、連邦選挙委員会(FEC)や政府倫理局、特別検察官室を新設の反汚職局に統合するとした。
反汚職局は上院の承認を経た7人の委員で構成され、大統領による罷免や予算圧力からの独立性を担保する仕組みを備えるという。
法案はシューマー氏が主導する民主党の反汚職イニシアチブの一環だ。同議員は、トランプ大統領が2025年の政権復帰以降、自ら20億ドル超、家族全体では40億ドル超の利益を得たと指摘し、その資金源の一つとして仮想通貨関連事業を挙げた。
民主党側が問題視する筆頭が、トランプ一族が2024年に立ち上げた分散型金融サービス「ワールド・リバティー・ファイナンシャル(WLFI)」だ。トランプ大統領は「共同創業者名誉顧問」として名を連ね、息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏、バロン・トランプ氏が共同創業者に加わった。
ガバナンストークン「WLFI」の販売では、トランプ一族の事業体が売上純益の約75%を受け取る契約となっており、家族の取り分は8億〜14億ドル規模に達したと報じられている。ドル連動型ステーブルコイン「USD1」も流通量が拡大し、アラブ首長国連邦(UAE)関連の投資を集めているという。
トランプ氏の大統領就任にあわせて発行されたミームコイン「TRUMP」と「MELANIA」も批判の対象だ。関連事業体が発行分の大半を保有し、トークン販売手数料などで6億ドル超を得たとされる一方、一般の購入者の多くは価格急落で損失を被ったという。
同法案の成立には上下両院で共和党の賛成が必要となる。トランプ氏が拒否権を発動した場合は、再可決には3分の2以上の賛成が必要になる。