米仮想通貨資産運用会社ビットワイズの最高投資責任者(CIO)マット・ホーガン氏は1日、ストラテジー(MSTR)が発行した優先株「STRC」の急落を相場サイクル終盤の典型的な現象と位置付け、今年の秋には新たな強気相場に入ると予測するブログを公開した。ビットコインは直近で6万ドルを下回り、2024年以来の安値を記録している。
STRCとはストラテジーが昨年発行した優先株で、高い配当利回りを維持しながら額面100ドル付近での取引を目標とする設計の金融商品だ。
STRCは当初9%の配当利回りで販売を開始し、価格が額面を下回った場合は利回りを0.25〜0.50%引き上げて需要を呼び込む仕組みを採用した。この仕組みが機能する間、利回りは段階的に11.5%まで引き上げられ、高利回りと低ボラティリティを求める投資家から105億ドルの資金を集めた。ストラテジーはこの資金を使用しビットコインを購入してきた。
しかし、直近数週間でビットコインとMSTR株の価格が下落するなか、投資家はストラテジーの配当支払い能力に疑念を持ち始め、STRCの価格は額面100ドルから一時75ドルまで急落した。この水準では実質利回りが15.4%に達しており、額面回復には公称利回りを11.5%から15%超まで大幅に引き上げる必要があった。ホーガン氏は「引き上げ幅が大きすぎて市場をさらに動揺させるリスクが生じた」と指摘した。
配当支払い能力への懸念が高まった事態を受けて、ストラテジーは今週月曜日、配当支払いの財源確保を目的としてビットコインを定期売却できる新たな枠組みを発表した。
額面100ドル維持を目的とした金利の自動引き上げ策は廃止し、STRCを変動価格で取引させる方針に転換。公式の配当利回りを12%に引き上げたが、ホーガン氏はビットコイン価格が大幅に回復しない限りSTRCが額面に戻るとは考えにくいと述べた。
また、ホーガン氏はSTRCの構造的問題をこう説明した。高利回りと低ボラティリティを求める資金がストラテジーを経由してビットコインに流入したが、ビットコインはそのどちらも提供できない資産である。本来その資産クラスにそぐわない資金が市場から排出されることが、底打ちに向けた避けられないプロセスだとした。
さらに、ストラテジーの財務面については、496億ドルのビットコインと26億ドルの現金を保有しており、68億ドルの負債と155億ドルの優先株残高に対して強制清算リスクはないと分析した。
ストラテジーが担ってきた「一方向のビットコイン最大買い手」としての役割は今後変わるとホーガン氏はみている。市場環境次第でビットコインの買い手にも売り手にもなり得るが、大規模な売却を強いる仕組みは存在せず、前サイクルほど市場を牽引する存在にはならないだろうとした。
後継として最有力候補にホーガン氏が挙げるのは機関投資家だ。モルガン・スタンレーが独自のビットコイン現物ETFを立ち上げ、ウェルズ・ファーゴが運用モデルポートフォリオにビットコインを組み込むなど動きが相次いでいる。テキサス州は米国初の州立ビットコイン準備金を創設しており、米国のビットコイン現物ETFは2024年の開始から500億ドル超を集め、主要な金融アドバイザー向けプラットフォームのほぼすべてで取り扱いが承認されるなど、機関投資家の参入が着実に進んでいる。
関連: ビットコイン(BTC)の今後・将来性【2026年6月】有識者7名の価格予測と2030年シナリオ
JPモルガンは2日のレポートで、ストラテジーのビットコイン売却方針が市場に双方向のリスクをもたらすと分析し、下半期回復には準備金の拡充と米クラリティー法案の成立が必要との見方を示した。
一方、ホーガン氏が注目する底打ちのシグナルは三つある。MSTRが純資産価値(NAV)を下回る水準での取引、仮想通貨恐怖・強欲指数が極度の恐怖圏に入ること、無期限先物の資金調達レートがマイナスに転じることで、いずれも強欲から恐怖への転換が完了することを示すシグナルだとした。
同氏は「底打ちはこれまでで最も近い水準にある」と述べ、秋には新たな強気相場に入るとの見通しを示した。


