マーケットメイカーのウィンターミュート(Wintermute)が6月29日に発信した週次マーケットレポートによると、ビットコイン(BTC)は節目である6万ドルを割り込み、一時5万9300ドル前後まで下落(本稿執筆時点の7月1日には、さらに下落し約5万8000ドルで推移)。過去の下落局面で下値の目安とされることが多い「200週移動平均線」付近まで沈んだ。
また、イーサリアム(ETH)はBTCより大きく7.9%下落し、1580ドル前後で推移したと同レポートが指摘。
ウィンターミュートによれば、下落の主因はハイテク株の巻き戻しにある。
米ナスダック指数は5営業日続落し、この日は4.5%安。半導体株の下落が目立ち、半導体指数SMHは1日で7%安となった。半導体関連の比率が高い韓国のKOSPI指数は一時サーキットブレーカーが発動する場面もあったという。
一方、小型株指数のラッセル2000は1.4%高、20年超の米国債は上昇しており、ウィンターミュートは今回の動きを、リスクオフ全体ではなく大型テック株からの資金シフトとみている。
この日発表された5月のPCE(個人消費支出)価格指数は前年比4.1%上昇と、2023年以来の高さとなった。ウィンターミュートは、インフレの長期化を示す内容であり、市場では9月の米利上げ観測が強まったと分析している。
一方、原油価格(北海ブレント)は週間で8.1%下落し、開戦前の水準に近づいているとし、先行きのコスト要因はむしろ改善しているとの見方も示した。
ドル指数は約1年ぶりの高値圏となる101近辺まで上昇し、これが仮想通貨を含むリスク資産全般の重荷になっているという。米10年債利回りは質への逃避を受けて4.38%前後まで低下したとしている。
ウィンターミュートは、仮想通貨市場が下げ局面の終盤に近づいているが、確定的な底値はまだ形成されていないとの見方を示した。仮想通貨の恐怖・貪欲指数は18から24程度の「極度の恐怖」圏にあり、昨年10月の高値形成以降ほぼこの水域で推移しているという。
オンチェーン指標では、含み損を抱える供給量の比率が全体の50%に近づいており、過去のサイクルではこの水準への到達がサイクル安値の2〜3四半期前に現れる傾向があったと分析。
ただし過去のサイクルでは60%前後まで達していたとして、下値余地が残っている可能性も付け加えている。
資金フローの面でも回復の兆しは乏しいという。米国のビットコイン現物ETFは週間で約18億ドルの流出となり、上場以来最大規模の流出の一つになったとウィンターミュートは指摘する。
仮想通貨がリスク資産の中で最も値動きが大きい存在ではなくなり、AI関連株がその役割を引き継いでいるとし、マクロ環境が改善しても、資金は仮想通貨より先にAI株に向かう可能性があるとの見立てを示した。
6月29日、BTC保有企業のストラテジー社は、優先株STRCの配当利率を12%に引き上げ、創業以来初めてBTCの売却を条件付きで容認する新方針を発表した。
ウィンターミュートは、MSTR株の市場価値が保有BTCの資産価値に対して割安になる局面で打たれた対応と位置づけている。
ウィンターミュートは今回の下落について、下げ局面の終盤に近いが底打ちの確証はまだないとし、今週発表される米雇用統計の内容や、BTCが200週移動平均線と5万8000ドル近辺を維持できるかが当面の注目点になるとの見方を示した。