国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週央には一時節目の1000万円を割り込む場面もあったが、その後は1000万円台を回復している。
週明けは、イランとイスラエルが攻撃を応酬するなか、BTCは上値の重い展開で始まった。一方、双方が攻撃停止を発表すると過度な警戒感が後退し、相場は週間高値1027万7735円まで上昇した。しかし、ドル建てBTC相場が6.4万ドル近辺で失速すると買いは続かず、その後は小甘い推移に転じた。
週央にかけては、米軍ヘリの墜落やトランプ米大統領による対イラン報復示唆が市場心理を冷やし、相場は970万円台まで下落した。尤も、ドル建てBTC相場が200週移動平均線近辺まで調整すると押し目買いも入り、相場は下げ止まった。
10日には米CPIが市場予想と概ね一致し、一時1008万円まで反発したが、その後は米国による対イラン攻撃を受けて再び売りが優勢となり、BTCは980万円周辺まで下落した。一方、原油価格が利益確定売りで下落すると相場も落ち着きを取り戻し、週後半には1000万円台を回復した。
その後、ECBの利上げ決定による影響は限定的となるなか、米国が対イラン攻撃の延期を決定し、イラン側も停戦条件を受け入れたと主張したことで、中東情勢の改善期待が広がった。BTCは1010万円台まで持ち直し、足元では方向感を探る展開となっている。
来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が最大の注目材料となる。足元ではインフレ指標の伸び加速を受けて、市場ではFRBが政策金利をどのタイミングで引き上げるか、あるいは利上げそのものの確度がどこまで高まるかが意識されている。
尤も、FF金利先物市場では6月会合での金利据え置きが96%程度織り込まれており、今回の会合では政策金利そのものよりも、声明や記者会見、四半期ごとの経済見通し(SEP)が焦点となろう。
今回のFOMCは、ウォーシュ議長体制で初めてSEPが更新される会合でもある。同氏はフォワードガイダンスに懐疑的な立場を示しており、FRBメンバーの会合時点での個人的な見解は、市場にとって必ずしも有用な手掛かりではなく、むしろノイズになり得るとの考えを持っているとされる。無論、議長の独断でフォワードガイダンスを廃止することはできないが、記者会見でどのように市場との対話を行うかは、今後のFRB運営を見極める上で重要な材料となりそうだ。
特に、あえて市場に明確な手掛かりを与えない「戦略的な曖昧さ」が導入される場合、政策見通しの不透明感が高まり、市場のリスクプレミアムが上昇する可能性がある。こうした変化は、ウォーシュ議長体制下のFRBがどのような政策運営へ移行するかを占う第一歩となる一方、BTCを含むリスク資産にはやや不安定な材料となる可能性がある。
他方、足元のBTCドルは、今週のレジスタンスとして意識された6.4万ドル(≒1025万円)の上抜けを窺う展開となっている。足元では方向感に欠ける展開が続いているが、ドル建てBTC相場に200週移動平均線近辺で押し目買いが入り、週後半には1000万円台を回復したことで、短期的には底打ち期待も残っているか。
加えて、12日にはスペースXの上場が控えており、米ハイテク株やリスク資産全般の値動きにも注意が必要だ。AIや宇宙関連を含む成長株への資金流入が続く場合、BTCへの資金配分は相対的に抑制される可能性がある一方、上場通過後に資金流出圧力が一巡すれば、BTCの下値を支える材料にもなり得る。
総じて、目先ではFOMCを巡る政策見通しの変化と、6.4万ドル水準を巡る攻防が相場の方向感を左右しそうだ。BTCドルが6.4万ドルを明確に上抜ける場合には、短期的な底打ちが意識され、戻りを試す展開が見込まれる。一方、ウォーシュ議長の記者会見が市場に大きな不透明感を残す内容となれば、米金利上昇やリスク資産市場での混乱を通じてBTCの上値が抑制される可能性には留意したい。


