フィンテック企業のトレーダム株式会社は22日、海外の買い手がUSDCなどのステーブルコインで支払い、日本企業が日本円で受け取れる国境をまたぐ決済サービス「トレーダム ペイメント」を開始した。
仕組みは、海外の買い手から送られてきたステーブルコインをトレーダムが法定通貨に転換し、日本企業の銀行口座へ日本円で振り込む。日本企業はステーブルコインを直接保有・管理する必要がないため、ウォレットの運用や仮想通貨の会計処理といった負担を伴わない。
海外で広がりつつあるステーブルコイン決済を、日本企業はこれまで通り銀行口座で日本円として受け取れる形だ。主な用途として、越境EC、貿易取引、デジタルコンテンツ販売を挙げている。
同社の公表資料によれば、決済手数料は取引規模に応じて0.25〜1.25%程度を想定する。着金に1〜5営業日かかる従来の銀行送金(SWIFT)や、手数料が4%前後となるクレジットカード決済と比べ、コストと着金スピードの両面で優位性を打ち出す。
同社が想定する利用シーンの一つが、銀行口座やクレジットカードの普及率が低い新興国との取引だ。アフリカではクレジットカード保有率が3.9%にとどまる一方、ステーブルコインの保有率は9.3%(約1.4億人)に達するとされる。
自国通貨のインフレ回避や、24時間動かせる送金手段としてドル建てステーブルコインの利用が広がっており、既存の決済インフラの空白を埋める手段として注目される。
事業の枠組みとしては、2025年に公布された改正資金決済法で新たに整備された、クロスボーダー収納代行に関する経過措置を活用する。収納代行とは、買い手からの代金を一度事業者が預かり、売り手に渡す仕組みのこと。マネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)、本人確認(KYC)、取引監視(KYT)にも対応するとしている。
国内では、こうしたクロスボーダー決済を後押しする制度整備が進む。金融庁は22日、改正資金決済法に関する政令とパブリックコメント結果を公表し、国境をまたぐ収納代行への規制の適用関係や経過措置の考え方を示した。海外との決済を扱う事業者には、利用者保護や取引管理を含むコンプライアンス対応がより強く求められる枠組みとなる。
政策面でも、自民党デジタル社会推進本部が19日に、 AIとブロックチェーンを組み合わせた次世代金融インフラ整備に向けた提言 を取りまとめた。
円建てステーブルコインのクロスボーダー決済拡大を念頭に、各国間で規制・監督のイコールフッティング(同等の競争条件)確立を目指す「グローバルSCコリドー構想(仮称)」や、アジア諸国との政策対話枠組みの創設などが盛り込まれており、官民での議論が並行して進んでいる。