スペースX(SpaceX)は21日、スターシップ第12回飛行試験の中継配信において、2013年設立の世界最大級ビットコイン( BTC )マイニングプール「F2Pool」の共同創設者であるワン・チュン(Chun Wang、王純)が、同社初の有人惑星間飛行ミッションの司令官を務めると発表した。
発表はスターシップV3初号機の打ち上げ中継中にサプライズ的に行われ、約2年間に及ぶ今回のミッションでは、地球・月系を離れて火星をフライバイ(接近通過)した後、地球へ帰還する予定となっている。
ミッションの詳細によると、火星への有人飛行に先立ち、ワン・チュンは米国人の航空宇宙エンジニア兼投資家のデニス·ティトー(Dennis Tito)と妻のアキコ・ティトー(Akiko Tito)とともに、スターシップ初の商業有人月周回飛行にも参加する。
この月面フライバイは1週間程度を予定しており、月面から200km以内を通過することで、深宇宙・長期滞在ミッションに向けたスターシップのシステム検証を行う。
ワン・チュンはビットコイン草創期から採掘に携わり、F2Poolを100カ国以上のマイナーが利用する世界最大級のプールに育てた人物だ。
後にステーキングサービス「Stakefish」も共同創設し、仮想通貨インフラ事業を拡大してきた。2025年3月には、スペースXのクルードラゴン宇宙船「Fram2」ミッションの司令官として史上初の極軌道有人飛行を成功させており、今回の火星ミッションへの参加について「多くの人が火星について語っているが、まずはフライバイから始めよう。それが火に火をつける」とコメントしている。
なお、スターシップV3初号機の打ち上げは5月21日夜(現地時間)、地上設備の不具合により発射カウントダウン残り40秒の時点で中止となった。
スペースXは翌22日以降の再挑戦を検討しており、ワン・チュンの宇宙ミッション発表はこの中継放送の中で行われた。火星ミッションの具体的な打ち上げ日程は現時点では未定とされている。
仮想通貨業界と宇宙開発の接点は近年拡大しており、ワン・チュンはその象徴的存在といえる。F2Pool運営で築いた資産をもとにFram2ミッションの資金を自力調達した経緯があり、今回のスターシップ計画でも、民間資本が人類の惑星間探査を後押しするモデルケースと見られる。