仮想通貨ビットコインのマイニング企業から次世代データセンター事業者への転換を進めるIREN(旧Iris Energy)は2026年5月14日、総額30億ドル(約4,800億円)の転換社債(2033年満期、クーポン1.00%)の発行完了を公式発表した。
当初26億ドルの募集に対し、4億ドル分追加発行オプションが全額行使され、手取り額は約29億6,000万ドルとなった。
転換プレミアムは32.5%に設定されており、IRENは同時にキャップトコール取引も締結した。このキャップトコール取引は1株あたり110.30ドル(2026年5月11日終値55.15ドルに対して100%プレミアム)を上限として、転換時の株式希薄化を抑制する仕組みだ。調達資金のうち約2億130万ドルはこのキャップトコール取引のコストに充当し、残額は一般事業目的および運転資金に使用する予定だと同社は説明している。
キャップトコール(Capped Call)取引とは、株式希薄化を抑制するためのオプション取引のこと。
今回の大型調達の背景には、IRENがビットコインマイニング事業者からAIクラウド事業者へと急速に転換を進めていることがある。
IRENは2026年5月7日、半導体最大手エヌビディアとの戦略的提携を発表しており、最大5ギガワット規模のAIインフラ展開と34億ドル規模のAIクラウド契約を含む包括的な協業を開始している。エヌビディアは提携の一環として、IRENに対し最大21億ドル規模の出資権利も取得している。
IRENは現在、売上高の約9割をビットコインマイニングが占めるが、AIクラウド事業への移行を急ピッチで進めている。
テキサス州の2ギガワット規模「スウィートウォーター」拠点をフラッグシップとして、エヌビディアのDSXアーキテクチャに準拠したAIファクトリーの構築を推進しており、マイクロソフトとの200メガワット規模のデータセンター契約も進捗中だ。
米投資銀行バーンスタインのアナリストは、IRENがビットコインマイニングで培った電力確保と土地利用のノウハウをAIクラウドに転用している点を高く評価しており、エヌビディアとの提携を「技術的・資本的な重大な連携」と位置づけている。
今回調達した約29億6,000万ドルが、AIインフラへの投資としてどのように具体化されるかが次の焦点となる。


