米ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は22日、州職員がインサイダー情報を用いて予測市場で賭けを行うことを禁止する行政命令に署名した。
ホークル氏は、インサイダー情報に基づいて賭けで金儲けをすることは「紛れもなく汚職行為」だとして、次のように述べる。
今回の行政命令により、ニューヨーク州の職員は、職務遂行中に得た機密情報を使って、予測市場で私的な金銭的利益を得ることが禁じられる。また、同様の情報で他者が利益を得るのを助けることも禁じられる。
なおニューヨーク州の他、イリノイ州のJB・プリツカー知事も21日、同様の行政命令を発令している。
ホークル氏は命令の背景として、米国政府の行動に関係する予測市場の契約でインサイダー取引が疑われる事例が複数発生していることを挙げた。
1月には、ある匿名のトレーダーが、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領がまもなく失脚するという賭けで40万ドル(約6,400万円)以上を稼いだ。また、米イラン紛争関係でも、イランとの停戦発表のタイミングを予測した3つのアカウントが合計60万ドル(約9,600万円)超の利益を得ている。
こうしたことを受けて、ホワイトハウスは3月、職員のインサイダー取引を禁じる内部通達を出した。予測市場大手のポリマーケットとカルシも政治家やアスリートなどのインサイダー取引を禁じるルールを設定した。
予測市場については、インサイダー取引の他にスポーツ賭博をめぐる問題も噴出している。
米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は今月21日、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースとジェミニの2社が提供する予測市場が州法に違反する無許可ギャンブル運営にあたるとして、両社を提訴した。
これを受けて、コインベースのポール・グレワル最高法務責任者は、予測市場は米商品先物取引委員会(CFTC)の管轄下にあり、州レベルではなく連邦裁判所での議論が進んでいると反論している。
また、グレワル氏は22日、この訴訟を、連邦法に関する事件は連邦裁判所へ移送するという法律などに基づき、ニューヨーク州の裁判所から、米国連邦裁判所へ移したと明らかにした。ニューヨーク州の申し立ては重要な連邦法上の問題を提起するものであるとしている。
なお、CFTCはみずからが予測市場に対する独占的な管轄権を有していると主張。予測市場の一部契約が違法賭博だとして停止命令を出したイリノイ州、アリゾナ州、コネチカット州の提訴に踏み切った。州の賭博規制などが連邦規制に優先するという州の主張と対立している。