JAN3のCEOサムソン・モウ氏は25日、神奈川県横浜市で開催されたJAPAN BITCOIN FUTURE FORUMに登壇し、日本のビットコイン環境の現状に警鐘を鳴らした。
セッションでは米国との法整備の差やビットコインETF(上場投資信託)整備の必要性、日本企業連合による政策ロビー活動の推進など、日本が取り組むべき課題を多角的に論じた。
モウ氏は「米国は大幅に先行している」と述べ、国内の現行の法整備スケジュールについて「機会損失に直結する」と危機感を示した。米国では準備資産に関する法整備が進められており、すでに押収ビットコインの売却は停止されている。
さらに、暗号資産推進派の議員が提出した米国政府が5年間で100万BTCの取得を目標とする「Bitcoin Act」法案も国会で審議が進んでいる。公開企業のビットコイン保有量や現物ETFの残高が米国に大きく集中している状況を受け、「実際に最も多くのビットコインを保有・管理しているのは、米国人・米国企業・米国のカストディアンである」との指摘がなされている。
一方、日本については前向きな評価もした。メタプラネットなどの上場企業よるビットコイン財務戦略の採用が重要な第一歩となっており、ETFをはじめとするビットコイン関連金融商品の整備に向けた土台になるとした。
ただし、日本が抱える構造的課題にも言及した。高い債務対GDP比率とゼロ金利政策が国内の富を海外のヘッジファンドや金融機関に流出させているとして、「ビットコインがこの状況を修正する大きな役割を担うだろう」とした。
ETFについては、暗号資産の税金が総合課税の50%から20%へ引き下げられる見込みは前進だとしながらも、「それだけでは不十分だ」と強調した。年金基金など機関投資家にとって、ETFは現実的なビットコインへの投資手段となる。
さらにモウ氏は「主権の問題」として、日本国内でのビットコイン保管インフラの整備を訴えた。「日本独自のETFを持ち、そのETFが他国ではなく日本国内のマルチシグ、コールドストレージでビットコインを管理する必要がある」と述べた。
JAN3は現在、日本でこうした議論を加速する取り組みを進めている。モウ氏は「複数の日本企業と協議し、政策立案者へ働きかける連合グループの結成を目指している」と明かした。
「世界の他の地域で何が起きているかを政治家に伝え、法整備の加速が可能かどうかを検討したい」と述べ、世界有数の経済大国としての日本がビットコイン採用に動く必要性を繰り返し強調した。
モウ氏はビットコイン債の仕組みについても説明した。もともと数年前にビットコインを法定通貨化に踏み切ったエルサルバドルなど高金利の新興国向けに設計されたもので、調達資金の半分をビットコインで保有し、5年後に元本を償還する構造だ。
残り半分はビットコインマイニングインフラへの投資に充て、クーポン(当初設計では年6〜7%)の支払い原資とする。5年間でビットコインが2倍になれば元本が賄われ、それを超えた分は投資家に還元される仕組みだ。
モウ氏は「Strategyの優先株と同様に、ビットコインの上値を投資家と共有する構造」と説明した。米国でも同様の「Bit Bond」が検討されており、キャピタルゲイン非課税などの優遇措置が加わる形だと述べた。
ステーブルコインについては、米ドル連動のテザー(USDT)などが世界の基軸通貨としての地位から引き続き主流になるとの見方を示した。一方で、日本円連動のJPYCのような各国通貨建てステーブルコインにも意義があるとした。
その理由として、国家がビットコインの戦略的準備資産を積み上げる際の調達手段としての役割を挙げた。「国内の取引所を通じて購入する方法に加え、ステーブルコインがグローバルな取引所で受け入れられれば、世界市場から直接ビットコインを調達できる」と述べ、国家レベルのビットコイン蓄積においてステーブルコインが重要なインフラになりうると指摘した。
ビットコイン相場については、半減期を基準とする「4年サイクル」の崩壊を指摘した。2024年には半減期前に過去最高値を更新しており、ETFや企業トレジャリーによる需要が日次採掘量を大幅に上回る構造になりつつある。
残存採掘可能量は現時点で100万BTC強まで減少しており、供給面でも環境が大きく変わっている。現在の価格下落局面はヘッジファンドによる4年サイクルへの賭けが原因だとしたうえで、「Strategyが下落局面でも新たな仕組みを通じてビットコインを大量に買い続けており、このような状況はこれまで存在しなかった」と述べた。
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メタプラネットおよびBitcoin Japanが主催するビットコイン特化カンファレンス。2026年3月25日、横浜・ぴあアリーナMMにて開催された。
衆議院議員の神田潤一氏、JAN3 CEOのサムソン・モウ氏、Binance Japan代表取締役の千野剛司氏らが登壇し、ビットコインと日本経済の関係を多角的に議論した。スポンサーにはSBI VCトレード、Gate Japanなどが名を連ねた。