次世代金融カンファレンス「MoneyX 2026」が2月27日、東京・ザ プリンス パークタワー東京で開催され、SBIホールディングスの北尾吉孝会長が基調講演を行った。
北尾氏はステーブルコインとオンチェーン金融を核とした同グループの包括的な事業戦略を明らかにした。これまでの日本の金融規制の遅れを指摘しつつ、「圧倒的なスピード」で世界展開を進める姿勢を鮮明にした。
米国ではステーブルコイン規制の連邦法「ジーニアス法(GENIUS Act)」について、北尾氏は「法が施行されれば規制・法的リスクが激減し、米SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の管轄範囲も明確になる」と評価し、同法が通るかどうかは決定的な違いがあると強調した。トランプ大統領が米国を暗号資産の「キャピタル(首都)」にすると明言していることも追い風だと述べた。
日本でも法整備は着実に進んでいる。暗号資産の口座数は、株の非課税制度として広く普及するNISA口座数の半分近い水準である1,400万口座に達し、預託金残高の合計は5兆円規模を突破した。北尾氏は「すでに資産クラスとしての地位を十分確立していることを示している」と述べ、こうした実態が制度改革を後押ししていると指摘した。
税制面では、最大55%に達する総合課税をイノベーションの遅れを招くと強く批判した上で、2026年税制改正大綱に申告分離課税への移行が盛り込まれたことを評価した。日本の金融改革の鈍さを嘆きつつ、規制改革を推進する立場にある高市政権、および片山財務大臣への強い期待も口にした。
技術面では、レイヤー1(L1)ブロックチェーンの課題として、取引増加に伴うガス代の高騰と処理速度の低下を挙げた。これを解消するレイヤー2(L2)技術の登場を「大きな進化だった」と評価し、大量取引を高速処理して最終結果をL1にまとめて記録する仕組みが普及しつつあると説明した。
さらにAIエージェントが自律的に取引を行う時代においては、トランザクションの爆発的な増加によりオンチェーン化が必然的に加速すると述べた。個人投資家がAIエージェントを通じて機関投資家と同等の市場に直接アクセスできる世界が到来しつつあるとし、既存金融インフラからの脱却を訴えた。
ロビンフッドがトークン化株式サービスをわずか半年で取扱銘柄を10倍強に拡大した事例を引き合いに出し、「投資家は新しいものに非常に敏感だ」と指摘した。
SBIグループの具体的な事業計画として、スターテイルグループとのジョイントベンチャーで共同開発する円建てステーブルコインを、早ければ2026年度第1四半期(4〜6月)にローンチする方針を表明。スターテイルの渡辺創太氏を社外取締役として招聘したことも明かした。
またSBI VCトレードがCircle社とUSDCのジョイントベンチャーを設立し、USDCのレンディングサービスも展開する計画を示した。貸金業ライセンスを取得することで、暗号資産を担保とした日本円の貸し付けも可能になるとした。
SBIホールディングスとStartale Groupは27日、共同開発を進めていた日本円ステーブルコイン「JPYSC」を発表した。
JPYSCは、日本の金融規制の枠組みに基づき、新生信託銀行が信託型の3号電子決済手段として発行するステーブルコインだ。信託会社がユーザーから預かった円資産を信託銀行で分別管理した上でブロックチェーン上に発行する仕組みで、2023年6月施行の改正資金決済法によって整備された類型にあたる。
最大の特徴は法的な資産保全にある。発行会社が万一倒産した場合でも、信託財産は一般の債権者から切り離されて保護される。銀行型(1号)の預金保険とは仕組みが異なるが、信託法に基づく安全性が担保されている。また、プログラマブルな設計が可能なパブリックチェーン上で発行されるため、AIエージェントや銀行口座を持たない外国人旅行者でも利用できる「誰でも使えるデジタル円」としての展開が期待されている。
主な特徴は4点だ。信託型(3号電子決済手段)として法令・金融規制に準拠した設計を採用し、高い信頼性を確保している。実務決済や資金管理、クロスボーダー決済など幅広い用途での活用が主要金融機関・大手企業から注目されているほか、機関投資家レベルの大規模取引やトークン化資産の決済にも対応する。さらに、従来の金融システムとブロックチェーン基盤をシームレスに統合するグローバルな相互運用性も備える。
SBI VCトレードが主要な販売パートナーを務め、Startale Groupがコアパートナーとしてプロジェクトを主導する。正式ローンチは関連する規制・制度への対応体制の整備を前提として、2026年度第1四半期(4〜6月末)を目指すとしている。
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