一般社団法人日本デジタル経済連盟が主催し、株式会社CoinPostが企画・運営を担当するカンファレンス「Digital Space Conference 2026(DSC2026)」が17日、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された。
経済産業省が後援する本イベントは、『未来を考え、今日を切り拓く』をコンセプトに、政策・産業・社会の各領域を横断しながら、日本発のデジタル経済基盤の創出を探る。国内外のリーダーが一堂に会し、未来の社会構造と価値循環について議論を深める。
片山財務相のセッションでは「高市政権では“未来”という言葉が好きで、日本を成長軌道に乗せていく」と冒頭から前向きな姿勢を打ち出し、2026年は日本市場の“デジタル元年”と改めて位置づけた上で、世界の潮流に先陣を切って臨むスピード感の重要性を強調した。
片山大臣は国際情勢への言及から講演を始めた。2025年1月にトランプ大統領が就任直後にデジタル金融技術におけるアメリカのリーダーシップ強化を掲げる大統領令を発令した際、まだ閣僚に就任していなかった片山氏はその場に居合わせており、米SEC(証券取引委員会)の委員長に就任したポール・アトキンス氏をはじめとする関係者と直接面会したという。
「これは本当にやる気だと感じた。腹が固まっていると確信した」と述懐し、その後のステーブルコイン規制法の成立など米国の動きの速さを実感を込めて語った。欧州でも2024年にデジタル資産への共通規制であるMiCAが完全施行され、国際的な規制整備が着実に進んでいることも指摘した。
こうした国際環境を踏まえ、日本でも暗号資産市場を健全に発展させ、利用者が安心して取引できる環境整備が急務だと片山大臣は強調した。
金融審議会での議論を重ねた結果、足元で投資対象化が進む暗号資産の実態に合わせ、根拠法を資金決済法から金融商品取引法へ移管し、その特性に応じた規制を整備することで利用者保護の充実を図る。制度改正案は早急に国会への提出・成立を目指す方針だ。
あわせてハッキング等による流出事案が後を絶たない現状に触れ、「セキュリティの確保は極めて重要な課題」と述べ、業界と連携して実効性ある対応を講じていく考えを示した。
税制面では、これまで雑所得として最大55%の総合課税が課されてきた暗号資産の売却益について、申告分離課税20%への移行方針を令和8年度税制改正大綱に明示済みであることを改めて確認した。
片山大臣は、2026年は日本市場の「デジタル元年だ」と繰り返し強調した。
昨年から国内での税制改正およびビットコイン現物ETF(上場投資信託)の取り扱い検討や円建てステーブルコインの発行が始まり、金融庁としても実証実験事業に積極的に関与しているという。
組織面では、ブロックチェーン技術を活用した決済高度化を支援する「決済高度化プロジェクト(PIP)」をすでに立ち上げており、2026年夏には暗号資産・ステーブルコイン課を含む新たな業務課の設置が予算上も認められ、体制の拡充を図る。
「日本市場の可能性を狭めることなく、国際的潮流に乗り遅れないよう、むしろ先陣を切れるようなスピード感を持って対応することが重要だ」と訴えた片山大臣は、DSC参加者との連携を密にしながらデジタル金融分野を盛り上げていきたいとし、「今日の方針が、皆さんに少しでも勇気を与えられるなら嬉しい」と言葉を結んだ。