TORICO主催のオンラインイベント「Ethereum Shift 2026」の第2部セッションに、Startale Group CEOの渡辺創太氏が登壇。
TORICOトレジャリー戦略アドバイザーの國光宏尚氏、モデレーターとしてTORICO Ethereum代表の尾下順治氏も参加し、「イーサリアムは次世代の金融インフラになるのか」をテーマに議論が行われた。
渡辺氏はセッション冒頭で、ソニーとのジョイントベンチャーによるイーサリアムL2「Soneium」に加え、SBIとのジョイントベンチャーで金融基盤チェーンの構築と日本円ステーブルコインの開発を進めていることを紹介。あらゆる資産がトークン化されオンチェーン上で取引される時代に向け、その基軸となるステーブルコインや株式のトークン化に取り組んでいると語った。
渡辺氏は、1〜2年前にはイーサリアムの地位が脅かされるとの議論もあったが、直近のFusakaアップデートでトランザクションコストが10分の1に低下し、L1のイーサリアムがL2のBase(コインベースのチェーン)よりも手数料が安くなったと説明。L2にビジネスを展開させつつ、L1側の技術改善を着実に進めた結果、競合チェーンに対する優位性を確立しつつあるとの認識を示した。
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同氏は、イーサリアムが金融インフラとして選ばれる最大の理由として「セキュリティが一番強い」点を挙げた。金融機関にとってセキュリティは最重要事項であり、ステーブルコインの基盤もほぼイーサリアムに集約されつつあるという。
米国の規制環境については、トランプ政権下でSECが掲げる「プロジェクトクリプト」構想のもと、米国の金融市場を数年以内にオンチェーン化する方針が示されていると紹介。
加えて、証券と非証券を明確に区分する「クラリティ法案」の整備が進むことで、銀行など大手金融機関や上場企業がトークンを発行できるようになる点を大きな転換点として挙げた。
渡辺氏は、現在の国際送金ではSWIFTを経由するため手数料やT+1〜T+2の決済遅延が発生し、銀行の営業時間の違いによる不公平さも生じていると指摘。オンチェーン化によってこうした課題が解消され、ステーブルコインを用いた即時決済が実現する世界を展望した。
さらに暗号資産の世代論も展開。ビットコインをデジタルゴールドの第1世代、イーサリアムをLinuxのような第2世代と位置づけた上で、現在は第3世代として、ディストリビューションチャネル(既存のユーザー基盤)を持つ企業がL2やL1を構築する段階に入ったと分析。この第3世代をmacOSやWindows OSに例え、プラットフォーム間の競争が今後2〜3社に絞られていくとの見通しを示した。
AIエージェントとブロックチェーンの接点にも言及。スマートウォレットの登場により、AIが秘密鍵を持たずにウォレットを保有できるようになったことで、デジタルネイティブな存在にはデジタルネイティブな通貨が使われるはずだと述べた。オンチェーン化された資産をAIエージェントが24時間運用・管理・トレーディングできる世界がメインシナリオだとし、その決済手段としてステーブルコインが活用される見通しを示した。
日本市場について渡辺氏は「米国と比較して日本は4年くらい遅い。1サイクル違う」と、暗号資産を取り巻く環境全般における差を指摘。
現状、税制改正の実現も早くても2028年頃になるとの見方がされる一方で、税制改正前の現段階ではトレジャリー企業にアドバンテージがあるとの見方も共有された。
渡辺氏は最後に、「日本が米国に勝つ」ことを抱負として掲げた。日本のプレイヤーがグローバルで勝つためには金融がベースになるとの考えを示し、ニューヨーク拠点からの挑戦を続ける意向を語った。