仮想通貨リサーチ企業Delphi Digitalは、FRBの利下げ継続などにより2026年が仮想通貨市場にとって有利な年になると分析した。
米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ継続に加え、量的引き締め(QT)の終了、財務省一般口座(TGA)の取り崩し、リバースレポ・ファシリティ(RRP)の枯渇という複数の要因が重なり、2022年初頭以来初の流動性が純増する環境が生まれると指摘。
金融政策が逆風から緩やかな追い風に転じることで、長期債、大型株、金、そして実需に基づくデジタル資産に有利な環境が整うとの見方を示した。
同分析によると、FRBは12月にさらに25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施し、政策金利を約3.5~3.75%に引き下げる見通し。先物市場は2026年を通じて少なくとも3回の追加利下げを織り込んでおり、年末までに3%台前半に達する可能性がある。
ただし、今回は急激な政策転換ではなく「制御された下降」だと分析。
FRBは12月1日に量的引き締め(QT)を正式に終了した。QTは保有する国債などが満期を迎えても再投資せず、貸借対照表を縮小させることで市場から流動性を吸収する政策。
2022年6月の開始以降、約2.4兆ドルの流動性を引き出してきたが、終了により貸借対照表は約6.57兆ドル(約985兆円)で維持され、流動性の引き出しが停止する。
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また、財務省一般口座(TGA)の取り崩しも予定されている。TGAは財務省がFRBに保有する当座預金口座で、数千億ドル規模の残高がある。
この口座が取り崩されて政府支出に使われると、その分の資金が民間の金融システムに流入し、銀行準備金や企業・個人の預金として流動性を供給する。
加えて、リバースレポ・ファシリティ(RRP)がほぼ枯渇している点も重要だ。RRPは金融機関やマネー・マーケット・ファンドがFRBに現金を預ける仕組みで、2022年後半には2.5兆ドル超あった残高が現在は200億ドル程度まで減少。
ただし、市場の専門家らは、流動性改善が必ずしも即座に価格上昇につながるわけではなく、インフレ動向や地政学リスクなどの不確実性も考慮する必要があると指摘している。
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