中東・北アフリカの仮想通貨市場が成長 トルコでアルトコイン投機が活発化=チェイナリシス
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは22日、2025年におけるMENA(中東・北アフリカ)地域の暗号資産(仮想通貨)採用状況についてのレポートを公開した。
まず、この地域を牽引するトルコの年間取引量が2024年から2025年にかけて約2,000億ドル(約31兆円)に達しており、地域で2番目に大きな市場であるアラブ首長国連邦(UAE)の約4倍だとしている。
仮想通貨の採用が広がっている背景にはトルコの困難な経済状況、特に継続的な通貨切り下げとインフレがあると指摘。仮想通貨は、オルタナティブな金融インフラ、金融上の苦難から逃れるための投資形態として利用されていると分析した。
また、トルコでは従来はステーブルコインの取引量が優位にあったが、2024年後半には、アルトコインの取引量がそれを上回って急増したと述べる。
これは、購買力の低下と規制強化に直面した市場参加者の間で、大きなリターンを追求する投機的な行動が増えたことを示唆している可能性がある。
チェイナリシスは、こうした資産の保存手段から投機手段へのシフトは、特に損失を吸収する能力が限られている個人投資家にとって懸念すべきことだとみている。
また、小売(個人投資家)セグメントでは成長率の大幅な減速が見られ、例えば、1,000ドル未満の取引は2.3%の収縮に転じている。一方で、機関投資家はインフレヘッジなどを求めて仮想通貨の取引を続けているところだ。
次に、イスラエルも2024年から2025年にかけて仮想通貨経済が成長している。
チェイナリシスは、この背景についてイスラエルとパレスチナのハマスとの軍事的衝突を指摘した。仮想通貨が深刻な国家危機時に注目されることを示すとしている。
仮想通貨の取引量は一貫して増加しており、これはリテール主導の動きだ。小規模リテール取引(1,000ドル未満)および大規模リテール取引(1,000ドルから10,000ドル)が最も活発化している。
特に、小規模リテール取引の活動レベルは2025年初頭に2022年1月の基準値の約6倍に達した。チェイナリシスによると、他の地域の紛争でも、機関投資家より個々の市民が仮想通貨を求める傾向があるというパターンが見られ、これと一致している。
イランでも、仮想通貨エコシステムは引き続き成長しているところだ。2025年半ば時点で、イランは2024年の同期間と比較して11.8%多い仮想通貨を受け取っている。
2025年初頭には、親イスラエルのハッカーによるものとされる攻撃で、大手仮想通貨取引所Nobitexから約131億円が流出したが、全体の成長軌道への影響は最小限にとどまった。
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アラブ首長国連邦(UAE)も、2024年から2025年において、仮想通貨の流入額は前期比で33%の成長を遂げた。成長は主に大規模な機関投資家による取引によって牽引されている。
また、小規模取引(1,000ドル未満)が88%増加。チェイナリシスは、これは消費者や企業にとって、仮想通貨が実用的な支払いソリューションへと移行していることを示すと分析した。
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