ドラレコ映像の活用システムなどを提供する株式会社セトラスは2日、市民の車載映像を自治体の業務に生かし、その貢献度に応じて独自の暗号通貨で価値を還元する「地方創生モデル」を発表した。
日常の運転で撮影される映像を、道路管理や防犯対策に活用。住民が地域に貢献した分だけ、報酬として「GARコイン」が付与される仕組みだ。
同プロジェクトでは、一般的な「暗号資産(仮想通貨)」のように投機取引を前提とするのではなく、行政がデータ活用によって得た“確定済みの価値”をトークン化して返す仕組みであるため、用途特化の「暗号通貨」として位置付けている。
通常のトークンは将来の成長期待を価値の源泉とするが、同社が発行する「GARコイン(Government Assistance Reward Coin:行政協力報酬通貨)」は自治体が映像データを業務に活用した実績、つまり「すでに確定した成果」を裏付けとする。
よって、投機目的の事前購入はできず、データ提供への対価としてのみ入手可能だ。
背景には、住民の協力が得られにくい自治体DXの構造的な課題がある。データ収集を住民の善意に頼るだけでは参加が長続きしない一方、自治体側も限られた予算で十分な謝礼を用意しづらい。
セトラスは、これまで行政側で“成果として積み上がりながら還元されてこなかった信用価値”に着目。この価値を暗号通貨として可視化し、住民に直接返すことで、予算によらない新しい価値循環を生み出せるとしている。
セトラスは現在、このモデルを検証するパートナー自治体を3枠限定で募っている。人口減少や広大な管轄面積によるインフラ維持負担を抱える地域が主な対象。
導入・運用にかかる費用は同社が負担し、約3〜6ヶ月の実証期間を経て本格導入を検討する流れとなる。試算では業務コストを最大6割削減できる可能性があるという。
参加する市民は専用の無料アプリを通じて映像を提供。提供される映像は、自治体が必要とする部分のみが自動で抽出・送信される。運転免許を持つ住民であれば年齢を問わず参加でき、地域経済への新たな貢献手段になると同社は説明している。
以下は路面状況を可視化したマップの公開サンプルページ。
セトラス(CETRAS)は、ある誘拐事件をきっかけに開発されたドラレコ映像活用システムである。犯罪や災害など予測不能な事象が発生した際、その付近を走行していた車両の映像に素早くアクセスし、必要とする機関と連携できる仕組みを提供している。
同社はドラレコを単なる事故の証拠保全装置ではなく、社会全体の「動く防犯カメラ」として再定義することを目指している。
今回のプロジェクトで市民が映像提供に使用するのは、同社が無料で提供するドラレコアプリ「CETRAS」。日常の運転がそのまま防犯パトロールとなり、特定エリアの走行量に応じてポイント報酬を得られる機能も備える。