*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI( @Nishi8maru )氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコイン( BTC )は軟調な推移が続いている。1日には一時8万5,000ドルを割り込み、日本円ベースでも24時間比で100万円超の下落となった。
背景には、イーサリアムが「フサカ・アップデート」を目前に控えロングポジションが積み上がる一方、主要DeFiプロトコルであるYearn FinanceでyETHの流出事故が発生し、ロングポジションの清算が連鎖したことがある。これに加え、世界最大のビットコイントレジャリー企業であるストラテジー社がビットコイン売却に関する条件を公表したことも、下落圧力を強める要因となった。
関連: ハッキング被害から3.7億円相当回収、ヤーン・ファイナンス
関連: mNAV1倍割れでも「最後の手段」に、ストラテジーがビットコイン清算条件を明示
デリバティブ市場におけるアクティブOI(未決済建玉)は急落に伴い減少しており、ファンディングレートもマイナス水準を示す取引所が散見される。ロングポジションの大規模な清算を受け、アクティブなショートポジション比率が相対的に上昇している状況である(下画像赤枠)。
また、先物価格が現物価格を下回る「バックワーデーション」が広がり、短期的には売られすぎの状態にあることが確認できる(下画像赤枠)。
オプション市場に目を向けると、8万5,000ドルおよび8万ドルのプットポジションが下値のサポートとなっている一方、10万ドルのコールポジションが最大建玉となっている。市場参加者の中心的な見立ては、当面のレンジ相場での推移であると読み取れる。
足元では、ロングポジションの大規模清算によってショートポジションが積み上がった反動から、「ショートカバー」を契機とする一時的な反発が生じる可能性がある。
しかし、全体的なトレンドを俯瞰すると、ビットコインは10月中旬以降の下落基調から脱しきれていない。11月下旬の反発局面も結果的には一時的なものであり、下落トレンドの途上で見られる小反発、いわゆる「デッド・キャット・バウンス」に該当する可能性が高まっている。
3日にはイーサリアムの「フサカ・アップデート」、10日にはFOMCが控えており、利下げ観測も材料となっているものの、12月後半から米国市場がクリスマス休暇に入ることに加え、ストラテジー社の指数除外が1月15日に予定されているとの報道もあり、時間的リスクは依然として残っている。これらを踏まえると、当面はレンジでの展開が続く可能性が高いとみられる。
関連: ビットコイン8.5万ドル割れ、個人買い増しとクジラ失速が鮮明に=アナリスト指摘
関連: 強気相場はいつまで続く?仮想通貨のトップアナリスト3人が価格予想|WebX2025